本日の委員会では「平成27年度 練馬区立児童・生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題の調査」に基づき昨年度(2015年度)の区内の小中学校でのいじめの認知件数とその対応の報告がありました。こちらの調査は毎年、全国すべての学校で行われており、定期的な全生徒、教職員へのアンケートや聞き取りをまとめたものです。

まず、いじめの認知件数について、2013年度は小学校では276件、14年度は197件だったのに対し昨年度(15年度)は167件、中学校はそれぞれ233件、194件、258件となりました。数字だけを見ると、昨年度、小学校ではいじめは減っていて、中学校は増えているように見えます。

しかし、この数値はあくまで教員等によって「認知された件数」でしかなく、いじめの大半は当事者しか知らないものです。だから、「数字が多いのは問題」「数字が少なければよい」と満足すべきではありません。例えば、区内のある小学校では、案内の中で「我が校はいじめ0、不登児校0の学校」と宣伝していましたが、いじめは常に存在するものだと考えて謙虚に向き合うことが必要だと思います。

続いて、いじめへの把握について。生徒にとって一番身近ないじめを学級担任が発見したのは、中学校では15件、全体のわずか5%にすぎません(最も多いのはアンケートによる発見で全体の63%)。

また、いじめを受けた児童、生徒について、学級担任に相談した数が最も多いものの、誰にも相談できていない比率も上がり続けており、昨年度は12%に達しています。

いじめを一教員に相談しても抱え込んでしまったり経験不足であったりして効果的かつ組織的な対応がとられなかったというケースも多々あるとされます。実際私も、「先生に相談しても報復としてますますいじめられるんじゃないか」と考え相談しなかったという子どもや、「先生に相談してもすぐ再発して、先生は見て見ぬふりだった」という子どもに話を聞いたことがあります。

なぜ、教師がいじめに気付けず、また、生徒との信頼関係を築いて対処できないのか。数年前に発生した大津市立中学校でのいじめに関する第三者委員会調査報告書では、いじめ対策の大きな課題として「教員の多忙化」を挙げています。「教員の負担を軽減して、子ども達と向き合えるようにするための改革を最優先に進めるべきである。」としています。また、文科省の「いじめ防止対策における組織的対応について」の論点ペーパーでも、「日常業務が多忙であることがいじめの抱え込みの背景にある」としています。

だからこそ、今日の委員会では、教育委員会としても、教員の配置、職員の配置をしっかりと再検討すべきと訴えました。これに対して、教育委員会は、教員の本来業務である子どもたちと向き合う時間が損なわれることのないよう、今後も検討していくとのことでした。

いじめの問題は非常に根が深く、この何十年という各関係者の取り組みをもってしても無くせなかったことを見ても、決して完全に解決できるものではないと思います。だからこそ、いじめに向き合う体制をしっかりと作っていく必要があります。また、場合によっては学校以外の多様な学びの場の活用を含めた包括的な対応が必要だと思います。