先日、渋谷にある日本最大のモスク、東京ジャーミイの視察を行いました。

このモスク、創設は1917年のロシア革命に遡るとのこと。革命時、迫害を受けたトルコ系民族のタタール人(イスラム教徒)はシベリア、満州を経て、日本のこの地域にコミュニティを作ったとのこと。そして、1938年にこの地に初めてモスクを立てたそうです。そして、2000年に建て替えられたのが現在のモスクです。
私もパキスタンやヨルダンなどでいくつかのモスクを訪れていたのですが、日本のモスクは初めて。イスラム教もそれほど一般的ではないから、小さいのかな…などと考えながら一歩入ると、そこは別世界…あたかもイスラム教国に紛れ込んだような、完成度の高さに衝撃を受けました。

伺うと、この建物、コンクリートと水以外はすべてトルコから輸入したとのこと。床を覆うすべての大理石から、柱の一本一本まですべて海を渡ってきたそうです。そして、建築に携わった方々もトルコから来たそうで、100名以上が住み込みで働いたとのこと。
建物も、モスクは正面を中心に完全な線対称(シンメトリー)になっていて、正六角形の形になっているとのこと。また、天井の近くには、蜘蛛の巣を防止するために有効とトルコで思われているダチョウの卵が埋め込まれているそうです。

あまりの静けさ、荘厳さに圧倒されながら、ガイドの方の解説も伺いました。彼によると、日本ではイスラム教に対する偏見が強いが、それは「異文化」といういわば西洋的なフィルターを通じてイスラム教を見ているからとのこと。偏見を捨て、まっすぐ見なければ、異文化と向き合うことはできない、とのことでした。今の世界ではあまりに国家(nation state)の対立ばかりが取り上げられている、しかし、イスラムの教えにもあるとおり、国よりももっと根本的なつながり、に目を向けるべきだ、という指摘は印象的でした。冗談で言っていましたが、日本人はイスラム教徒といえば「豚肉を食べない、一夫多妻、テロリスト」といったようなイメージしかない、でも、本当に大切なのは、お互いの文化をしっかりと理解することである、とのこと。

練馬区でも登録済みの外国籍住民の方は1万7,000人を超え、区民の一人は外国人ということになります。そんな中で外国籍住民、特に在日の方を対象としたヘイトスピーチは近年急激に増加しています。こうした状況を改善して、真の多文化共生を実現するうえで一番基本となるのは、それぞれの文化を尊重し、理解することだと改めて実感しました。今後、地域で視察ツアーも企画したいと思いますのでぜひご参加ください^_^