先日もあるテレビ番組で芸人が黒人俳優に扮して顔を黒塗りにしたり、昨年はゲイの方を嘲笑の対象にしたりと、日本のテレビ番組における人権感覚について、国内外から批判の声があがっています。

そんな中で、先日、3歳の息子と夕飯の際に何気なくテレビをつけたら「はじめてのおつかい」という番組が…。内容に驚きました。http://www.ntv.co.jp/otsukai/

この番組、その名のとおり、こどもを一人で買い物に行かせる、そんなテーマなのですが、私が見た場面では主人公は3歳の女の子。一人でスーパーまで買い物に行かせるというものです。うちの子も三歳ですが、文字通り右も左もわからない状態です。ですので、最初は一人で歩きだすものの、家が見えなくなったところで、寂しくなって泣き出します。「お母さん!」と泣きながら帰ると、保護者は「戻ってきたらあかん、前に進むんだ」と無理矢理、再度送りだします。泣きながら進む女の子をスタジオではゲストが感動したり、笑ったりしながら見ています。そして、買い物を終えると荷物の重さと、裸足でサンダルしか履いていなかったので足が痛くて「お母さん!」と号泣しながら帰っていく、そんな姿を映し続ける。そして、お母さんに会えて最初の一言、(言い付けられていた)「オクラ売ってなかった!」という言葉を聞いて、スタジオは大笑いするのですが、何が面白いのでしょうか…。そして、スタジオでは子どもはなんて健気なんだろう、と感動する、という流れになっていました。

この番組へは以前から批判もあり、論点の一つは子どもを一人で買い物に行かせるのは危険だ、というものでした。この批判には、多くのスタッフが同行するなど、安全に配慮していると言えるのですが、私はそれよりも、嫌がる幼児を無理やり買い物に行かせて、間違えると面白がり、号泣する姿を見て感動する、その姿勢に違和感を覚えます。まだ3歳の子どもに主体性や判断能力を求めること自体が残酷であり、このことで子どもに自主性が付くどころかトラウマになる恐れもあると思います。また、テレビカメラがなくても同じことをさせるのでしょうか、番組の企画だから許容する、という姿勢もおかしいと思います。