3月2日、子ども家庭費の審議では、なぜ保育士の給料が上がらないのか、その理由を明らかにするとともに、区の対応を求めました。国や都は事業者に人件費として一人当たり最大で565万円を支払っていますが、そのうち最大で180万円近くが事業者によって他の目的に使われています。保育士の処遇が改善されることは、保育の質が向上することにつながります。今後も訴えていきます!

【ここから】
保育士は、自身が感染するリスクや恐怖を感じながらも、献身的に働いていますが、特に私立園での待遇はあまりにも厳しいものです。内閣府の調査では東京都の保育士の平均年収は381万円、全職種の平均年収と比べても100万円以上の差があります。

なぜ保育士の給料は低いのか?
内閣府によって、今年度から初めて国が事業者に払っている保育士の人件費(公定価格)が地域別に公開されました。これによると、東京23区では人件費として一人当たり約442万円、そこに国と都独自の加算をすると、本来想定される年間賃金は最大で565万円になります。
しかし、実際に保育士が受け取る賃金は、23区の平均が約381万円、その差は最大で約180万円になります。

【岩瀬の質問】
なぜ国や都が人件費として払っている金額と、実際の賃金にこれほどの差があるのでしょうか?区の認識をお答えください。

【回答】
国によって2015年から「委託費の弾力運用」が認められている。そのため、人件費を他の用途に使うことも認められている。

【岩瀬の意見】
保育園の運営費用は国から給付されますが、その8割以上は「人件費」が占めています。
しかし、「委託費の弾力運用」として、人件費を他の用途に使うことが認められている中で、同じ会社が運営する介護施設での使用や新たな施設を作るための整備費に回すことなどが一般的に起こっています。

では練馬区の私立園がどうなっているか、東京都が公開している区内私立園の財務諸表を全て調査しました。その結果、株式会社が運営している保育所については、平均年収は374万円。人件費としての支出の平均は6割、中には3割代という保育園も複数園存在します。これらの園はどんな運営をしているのか。年間事業費が2億円の中、整備のための積立金が1年で8千万円を超える園や、他の事業への移転が4千万円を超える園もあります。

【岩瀬の質問】
本来は人件費に充てられるべきものが別の事業に使われている実態について、ぜひ区として対応を頂きたいと思います。区の見解をお答えください。

【回答】
実際に保育の現場で支払われる給与、園ごとにそれほど大きな差はないと考える。他の用途への利用(弾力運用)については国が方針を示している。その中で各園が取り組みを行っている。

【岩瀬の訴え】
財務諸表には各園における職員の平均経験年数も示されています。これを見ると、区内保育士の平均経験年数は7年。さらに、5年以下の園も3割です。人件費率が4割を下回っていた園の中には平均経験年数がわずか3年という園もありました。厳しい労働条件が保育士の離職率の高さにもつながっていると考えます。保育士の処遇が改善されることは、保育の質が向上することにつながります。ぜひ区として是正することを求めます!