就労や介護などの事情に問わず、子どもを保育園に預けることができる子ども誰でも通園事業、2026年度からの本格実施を前に、練馬区でも7月から試行的にスタートすることを決定、委員会で報告がありました。申し込みは6月11日からになります。国が示した制度と練馬区で試行的に行われる方法には預けられる時間や年齢、費用など多くの違いがあります。

5月20日の文教児童青少年委員会において、「こども誰でも通園事業の試行実施について」報告がありました。この制度は0歳6か月~3歳になる年度末までの保育所等を利用していない子が対象になる制度で7月1日から試行実施されることになります。対象は現在の所12園、利用者は60名を想定しています。申し込みは6月11日から、方法は区報やウェブサイトで明らかになるとのことです。
委員会の資料は以下のリンクをご覧ください。

15【資料13】こども誰でも通園事業の試行実施について

練馬区のこども誰でも通園事業、国の制度との違いは?

  1. 年齢について
    国の制度(参考)では、対象は0歳6か月~3歳になる前日までの子どもですが、この場合ですと、3歳の誕生日を迎えた段階で退所しなければいけないので、練馬区では3歳になる年度末までを対象としています。
  2. 利用時間
    国の制度は月の上限を10時間としているのに対して、練馬区は週1回以上、最大48時間(日8時間)を上限としています。これは、子ども達が慣れるためには一定の時間が必要との判断によるものです。
  3. 利用料
    国の制度では保護者の負担は1時間300円程度としていますが、練馬区では負担軽減のために1時間275円になっています。他方で、事業者の負担を軽減するために運営費補助として1枠あたり毎月5000円の補助を行うことになります。

なお、利用に先立って利用希望施設と必ず面談を行うことになります。面談方法は対面やZOOMなど、施設が決定することになります。また、今回の試行実施においては保護者が契約をできるのは1カ所の園のみとなります。

(出典:練馬区)

こども誰でも通園事業の課題は?

子ども誰でも通園事業について、これまでも継続して安定した保育の実施や保育士の確保、保護者にとっての利便性など様々な課題が指摘されてきました(主な意見はこちらをご覧ください)。練馬区における事業の課題としては以下のような内容も挙げられると思います。

  1. 継続して安定した保育の実施と保育士の確保
    最大の課題の一つは保育士の負担が増大する恐れがあることです。練馬区では毎月48時間までと国基準よりも長くしていますが、それでも一人ひとりを十分に理解するための時間が短く、関係を構築するのが非常に難しい状況です。この短期間で安全な保育を行うには負担が大きいものとなります。さらに既存の園児との関わりのバランスをどう保つかも重要な課題です。また、ただでさえ困難な保育士の確保も課題です。練馬区の場合は、一時保育の定員枠の活用や空き定員を利用した運用を検討しており、保育士を新たに雇う必要はないとのことですが、来年度の本格実施に向けて対応が必要になります。
  2. 定期利用しか認められない
    試行実施では事前の週1回以上の定期的な利用のみとなっています。しかし、保護者の方が病気になったり、精神的に追い詰められた時など、当日の朝、どうしても預かって欲しいといったニーズも多く存在します。国の制度ではこうした柔軟な利用も想定している中で、区としての対応も必要だと思います。

今後の予定

6月11日号の区報等で情報を掲載、募集を開始し7月1日から試行実施を行うことになります。本格実施は来年4月からになりますが、実際に利用される保護者や保育士の方々の意見を踏まえて、改善が図られていくように今後も訴えていきます。ご意見などありましたらぜひお寄せください。これまでの訴えはこちらをご覧ください。