反対討論「コロナはあくまでもきっかけ、社会を変えない限りいつまでも続きます!」

1か月半に及ぶ定例会がようやく終了。最終日には昨年度の決算の採決が行われ、私達は反対しました。最大の理由は、最も必要な方に区の支援が届いていないこと。反対討論の一部(抜粋)をご紹介します。 【ここから】 今回の決算では、練馬区として住民の暮らしと命をどう守るか、改めて問われました。年度末にかけてコロナの影響が拡大していくなか、これまでも存在し続けてきた非正規雇用の問題やジェンダーの問題、ワーキングプア、学校等の構造的な問題が一気に表面化しました。そうした中で、練馬区の対応はあまりに不十分でした。 今年度に入ると状況はさらに深刻化し、住居確保給付金の申請者は昨年度の30倍、そのうちの8割は20代から40代の若い世代。地域での若者や女性の自殺も増えています。 そうした中で、今回の決算を見ても、民間委託や非正規職員の導入がさらに進んでいます。こうした中で、特に女性や若者がその犠牲になっており、練馬区における非正規公務員の大半が女性という現実もあります。 若い女性からは「学歴は平等に近付いてきているのに、就職や賃金は平等でない。そこに、出産、育児、介護などが加わっていく。だからこそ女性は社会に何かあったときに崩れやすいんです。これは社会が変わらない限り続いていくんです。」そんな訴えが届きました。 「コロナはあくまでもきっかけであり、社会を変えない限りいつまでも続く。」私たちはこの絶望の声に何と答えたらいいのでしょうか。 子ども達も限界です。感染不安で自主休校している児童生徒はいまだ100名以上、その他にも不登校や登校しぶりの子ども達の数は年々増加し続けているにも関わらず、オンラインでの配信等、当事者や保護者が望む支援は未だに進んでいません。教員も過重労働に苦しんでいます。2年目や3年目の若い教員の方から「仕事は好きだけど、コロナ拡大の中で学校の消毒や土曜日の授業に7時間授業、あまりに大変な中でもう続けられない」そんな悲痛な訴えも届くとともに、心の病気により長期休職している方、退職される方も多数に上ります。 年々増加する地域で共に暮らす外国人の方について。練馬区は昨年度、900万円近くをかけて10年振りに外国人住民へのアンケートを実施、しかしなぜかヘイトスピーチに関する設問が一切ありませんでした。10年前、半数以上もの方が差別、偏見に苦しんでいると答えたのに、なぜ今回は問う事すらしないのか、外国籍住民の怒りや苦しみからは目を背けていると言わざるを得ません。 年初から一気に動き出したとしまえん跡の都立公園整備をめぐって、ハリーポッタースタジオ施設の開発計画が突如、動き出し、大きな波紋を広げています。広域防災拠点、緑と水、地域の賑わいの拠点としての公園の将来を左右する重大問題であり、事前に議会に報告することもなく区として覚書を締結したことは、住民や議会を軽視するものです。 こうした問題に練馬区が真摯に向き合うと共に、よりよい方向へ進むよう要望し、上記4議案に対する反対討論といたします。

ひとり親からの訴え。「私はチャレンジすることもできないのでしょうか?」

先日の決算では女性の自殺への対策とともに、コロナによって特に厳しい立場に追い込まれているひとり親家庭への支援のあり方について訴えました。(詳細は後ほど公開される議事録をご覧ください) 【ひとり親家庭の現状について】 コロナで多くの方が厳しい状況におかれている中で、とりわけひとり親家庭では、パートや派遣社員など非正規で働く母親が多く、解雇や雇い止めに遭ったり、休業などで収入が減ったりして、いっそう苦しい生活を強いられています。練馬区も独自に母子世帯に対する給付を行ってはいますが、いずれも一時的なものであり、コロナ禍が長期化する中で、助けにはなっても生活改善には程遠いと言わざるを得ません。 【ひとり親家庭が自立できるための根本的な支援を!】 そうした中で、区として何ができるのか、区が実施しているプログラムの一つにひとり親への自立支援があります。その一つの方法として、希望する仕事に就くために必要な資格を取るための支援を行う事は非常に重要です。 練馬区は「女性福祉資金」と、「母子及び父子福祉金」のなかで、資格取得のための資金を融資していますが、令和元年度に貸しつけた件数は併せてもたったの2件。なぜこれほど件数が少ないのでしょうか。 【区の回答】 ひとり親に対しては希望に応じて適切な支援を提供している。 【資格を取りたくても、窓口で断られているケースが!】 先日、小学生のお子さんを育てているシングルマザーから相談がありました。その方はずっと非正規で働いてきた中で、望む仕事に就くために「行政書士」の資格を取りたいと窓口で女性福祉資金を申請したところ「あなたがチャレンジするための資格ではない」と申込自体を断られ、看護や介護の資格を取るよう求められたとのことです。看護や介護を否定するものでは全くありませんが、その方の思いとは全く違うものです...。最後に彼女から言われたのが「私たちにはチャレンジすることすらもできないのでしょうか?」というものでした。どれほど辛かったか、考えるだけで胸が痛みます。なぜこんなことが起きるのでしょうか。 【区の回答】 区としては資金を貸し出す際に、ご本人の返済の可能性、能力、生活状況、自立につながるか、などを総合的に判断。そのなかで、他の資格をご提案することはある。資格の種類によって自動的に断ることはない。 【岩瀬の訴え】 そもそも申請の中身を判断するのは窓口ではありません。区としては申請者のために他の資格を勧めているとのことですが、ご本人からすると拒絶されているようにしか感じなかったとのこと。窓口で断られているということが昨年の申請がわずか2件という数字にも表れていると思います。今回、区は資格で判断することはないと答弁したので、今後の窓口の対応は改善されると思います。自立するということはただ働くということではなく、好きな仕事を尊厳をもって行う事です。区として、仕事を通じた自己実現の方法として資格取得をするということ、しっかりと支援するよう今後も訴えていきます。  

「コロナはあくまでもきっかけ、社会を変えない限り自殺は減りません!」練馬区の自殺対策

決算の審議では練馬区でも急増している若い方の自殺、特に女性の自殺を防ぐために区の取組を求めました。 【今年に入って練馬区でも若者、特に女性の自殺が急増】 全国的に若い方の自殺が増えているとの報道が。練馬区でもこれまで40代以上が中心でしたが、今年は20代が最も多く、30代までが全体の4割。特に問題なのが女性の自殺です。自殺者の性別について、これまでは男性が女性の1.8倍でしたが、今年に入り区内でも女性の自殺が急増、特に5月以降は女性の方が多くなっています。 【女性の自殺が増えること、その背景には構造的な問題が】 なぜ増加しているのか、多くの理由があります。非正規雇用の方が圧倒的に多い中で、コロナによる解雇や減給など経済的な困窮に追い込まれたこと、自粛期間中、仕事をこなしつつもほとんどの家事、育児を女性がこなさなければならないという現実、自宅でのDV被害など、女性がこれまで抱えて来た構造的な問題がコロナで一気に表面化したのだと思います。 【若い女性からの叫び】 若い女性からもこんな訴えが届いています。「学歴などだんだん平等に近付いてきているのに、就職は平等じゃない。恋愛や結婚にしても、共働きで家事労働が加わります。そこに、出産、育児、介護などが加わっていく。まして女性はこれまで男性をケアする役割を求められてきました。こんな日常がある中で、女性の方が、社会に何かあったときに崩れやすいんです。これは社会が変わらない限り続いていくんです。」私たちはこの絶望の声に何と答えたらいいのでしょうか。 【今できることから、まずは相談窓口の強化を!】 急増している若者の、特に女性の自殺を防ぐためには社会を変えるしかありません。しかし地域で今何ができるか、その一つが相談窓口の強化です。私のところにも「死にたい」そんなSOSが届きます。練馬区は相談窓口を設けていますが、多くの若い方は練馬区の情報をチェックしておらず、どこに相談するのかもわかっていません。町田市では2019年度から自殺対策として、市内にいる人が「死にたい、孤独」などの生きづらさに関する単語をインターネット(google)で検索した際に、検索連動広告機能を使って市内の「悩みの相談先一覧」を掲出。20年度は7月末までの4か月間で、大きな効果を上げています。こうした取組をぜひ参考にすべきです。 【回答】 検索すると、すでに厚生労働省のサイトなどが表示されるので、区として現在実施する予定はありません。 【岩瀬の訴え】 もちろん国の支援が表示されることは知っていますが、大切なのは相談に載るだけではなく、地域の具体的な支援につなげること。そのためにも地域の相談窓口に繋ぐ方法を検討すべきです! 【ゲートキーパー研修、オンラインでも実施を!】 区における自殺対策の中心を担っているのが地域で暮らすゲートキーパー(支援者)の方々。しかし、コロナの影響で例年複数回実施している養成講座もフォローアップ研修も3月以降全てが中止されている。他区ではネットによるゲートキーパー養成なども開始している。地域で支えられる人が今こそ必要であり、練馬区もオンラインの活用を検討すべき。 【回答】 実現に向けて前向きに検討する 【男性の育休取得を!】 併せて、区としても女性が構造的に置かれている差別的な状況を改善することが必要です。その一つが男性も育休を取得し、子育て、家事を主体的に担えるようにすること。一歩で、商工会議所の調査では男性の育休義務化について7割の中小事業者が反対しているとのこと。しかし、出産直後の女性の死因で最も多いのが「自殺」であり、その最大の理由が「産後うつ」です。女性の負担を軽減するためにも、区として男性も育休が取りやすい環境を作ることが必要。区内の事業者の意識の改革、支援に積極的に取り組むべきです。 【区の回答】 男性の育児取得の重要性は区も認識している。男女共同参画計画にも示したが、モデルケースの紹介や企業の表彰など積極的に対応をしていく。 【岩瀬の主張】 「コロナで女性の自殺が増えたのはあくまでもきっかけ、社会を変えない限りいつまでも続くんです。」 若い方が未来に希望を持てず、自殺せざるを得ないという事、これほど辛いことはありません。そしてそんな思いをさせてしまうことは、私を含む社会全体の責任です。学校での教育、職場での研修、区職員の女性管理職の増加、女性議員の増加、できる限りのことをこれからも訴えていきます。

10年振りに実施した外国人調査、 練馬区はヘイトスピーチ に向き合うつもりがないの?

区内の外国籍住民は増加を続け、9月現在では2万人以上、区民の2.7%になります。特に過去5年間の増加率は23区でも6位。コロナで一時的に減少していますが入管法が改正された中で、今後も増加が予想されます。だからこそ、区としてもっと外国人との共生にむけて努力するよう求めました。 練馬区は8月に「練馬区外国人住民および事業所アンケート調査報告書」を作成。これは2010年に実施された調査以来、実に10年振り。この間、再調査の実施を訴え続けてきた中で、実現されたことは評価します。しかしその内容には問題があります。 ★質問:なぜ地域の方が受けている差別・偏見について質問しなかった? アンケートの大きな課題の一つが、ヘイトスピーチに関する質問が一切なかった点です。10年前の調査では日本人からの偏見・差別を感じたことがあるか否かの質問に対し56.6%(よくある、時々ある)もの方が感じたことがあると応えていました。なぜ今回は質問すらしなかったのでしょうか? 【区の回答】 今回の調査は前回とは目的が違う。今回は生活上の困りごとを調査したかった。差別などについては住居の借りる時の困難、仕事の上での困難などとより掘り下げた質問を行った。 ★岩瀬の主張 住居や仕事での困難は前回も調査しており、それで差別に関する質問をしたというのは納得できません。外国籍の方の生活の困難を調査するのに、差別や偏見の苦しみを知ろうとせず、何がわかるのでしょうか?私自身、外国籍住民の人権擁護についてTwitterで発信したところ多くの中傷を受けました。見えない相手から突然殴られるような恐ろしさ、初めて実感しました。ヘイトは言葉による暴力であり人権の侵害です。外国籍住民への生活実態調査を行ったにもかかわらずその中から、敢えて差別や偏見に関する質問を除いたということは、こうした問題に真剣に向き合う意図が無いのではないか、指摘せざるを得ません。ぜひ今後、別の形で調査を実施し、その結果に基づいて区として具体的に対応すべきです!

履歴書から性別欄が削除、練馬区でも性別記載の見直しが進みます!?

決算委員会での質疑、性的マイノリティへの配慮やジェンダーの観点から練馬区でもできる限り性別欄の記載を削除すべきと訴えたところ、非常に前向きな答弁が☺少しずつ前に進んでいます。 先月、「性別欄のない履歴書」が販売されたと報道されました。https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f1165c7c5b6d14c3365ce1c このことは性的マイノリティに対する権利擁護として、また女性の地位が構造的に低い位置に置かれてきた中で、ジェンダー差別解消の取組としてとても重要です。そもそもなぜ、性別を記載させることが問題なのでしょうか、それは性の自認が本人のアイデンティや尊厳にも深く関わっており、記述を求めるのであれば、そこには合理的な理由と必要性、十分な配慮が求められるからです。 練馬区は2003年度に性別記載のある全ての書類(帳票)について調査を実施、その結果461件の帳票のうち、約3割にあたる163件を削除したとのことです。そのうえで、これ以降に新たな帳票類を作成する場合にも、適切な対応を行うよう通知を行ったとのことです。 【岩瀬の訴え】 しかし、その後は全く検証が行われてきませんでした。そして、前回の通知から15年が経過した2019年の4月、改めて性別の記載についての通知を出したとのこと。これを機に練馬区として、すべての帳票について改めて調査を行い性別記載の廃止に向けて取り組むべきです! 【区の回答】 ?15年前とは状況も変わっているなかで、今後改めて全ての書類(帳票)を調査することを検討します? 【岩瀬の感想】 練馬区として15年振りに改めて調査すると約束したことは非常に大きいことです。練馬区は今年度から全ての小中学校で男と女でわけない男女混合名簿を導入。また先月発行された区立中学校の学校案内においても、女子でもスカートだけでなくスラックスを選択できると明記した学校もあります。こうした動きはジェンダー平等の観点からも非常に大きな一歩です。ぜひ調査の早期実現を求めていきます。

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