「学校へ通わないなんて、義務教育違反だ!」
そんな意見の方も多くいます。私も不登校の方から直接声を聞くまでは、学校へ行くことは子どもの義務だと思っていました。
先日、特定非営利活動法人「東京シューレ」の30周年記念祭に参加しました。東京シューレは、様々な理由によって不登校となった子どもたちに多様な学びの場を提供するフリースクールの草分け的な存在です。
私が今回、記念祭に参加したのは、私の妻も昔、不登校で東京シューレに通っていたからというご縁、そして、ここ練馬区でも不登校の子ども達が増え続ける中で、フリースクールがこうした子ども達を受け止める一つのセーフティーネットとなるのではないか、と感じたからです。
練馬区の不登校児童の数、直近の平成26年度においては、小学校で176名(全体の0.54%)、中学校では49名(全体の3.09%)となっています。
この数字、平成21年度と比較すると、小学生では約70名、中学生では約30名の増加となっています。特に中学校では、1クラスに一人は不登校の子どもがいることになります。
不登校の子ども達への対応として、現在、練馬区では「適応指導教室」での支援を行っています。適応指導教室の目的は、「不登校児童を対象に相談活動を通して心の安定を図り、個別指導と集団活動を合わせて学習指導を行い、学校に復帰できるよう指導する」こととなっています。
しかし、こうした「指導」が本当に子ども達のためになっているのでしょうか?
この教室の目的は、あくまでも子ども達を学校に戻すということですが、それが必ずしも解決策にならないことも多いのです。そもそも、”適応指導”という名前自体が、あたかも不登校の子どもが社会生活に不適応であるかのような印象を与えてしまう、子ども達の主体性を軽視したものと感じています。
よく、不登校の子に「学校に通うことは義務だ」と言われることがあります。しかし、義務教育とは、国や保護者が、すべて子どもに教育を受けられるようにする義務であり、子どもが学校に行くことは義務ではないのです。そして、教育を受ける場所は学校でなくてもいいのです。
式典では、不登校の子どもやOB、OGの方から、なぜ学校へ行けなくなったか、そして、不登校にどうやって向き合ってきたか、を聞くことができました。
不登校の子どもに対して、「将来社会でやっていけない」とか「学校へ行かないのは努力が足りないからだ!」といった偏見がありますが、OB、OGの方々には、特技を活かし、大手旅行会社で支社長を務めている方、レストランをいくつも経営する方、保育士になった人、ゲーム会社で社長をされている方、など、皆さんそれぞれの個性を活かしながら社会の中で活躍されていました。
また、「学校教育を押し付けられていたら、個性を活かすことができなかっただろう、ゆっくり自分のペースでXXできたからこそ、自己肯定感が生まれた」という意見もありました。
行政が不登校の子ども達のために果たすべきこと、それは、子ども達を、ただ学校に戻すことを強要するのではなく、子どもにとって最善の結果を得られるよう、多様な学びの機会を与えるということ、そして、子どもを中心とした学びの場を提供することだと思います。
練馬区にも「なゆたふらっと」など、歴史のあるフリースクールも存在しています。
現在、国会で「多様な教育機会確保法(通称 フリースクール法)」が超党派の議員団によって審議されている中で、練馬区でも、こうした動きを行政としてしっかり支えていけるよう、しっかりと声を挙げていきたいと思います!