先日、他の自治体における多文化共生の現状を視察するため、埼玉県の蕨市と川口市の市境にある、中国人の方が多く住む団地(通称リトルチャイナ)への視察を行いました。
埼玉県の蕨駅の近くに「芝園団地」というURの団地があります。こちらの団地、1978年に建設され、最盛期は10,000人近い人が住んでいましたが、入居者の高齢化が進む中、新たに外国人の入居が増えており、現在は4,500人の住民の中で2,000人を外国人、特にそのうち9割を中国の方が占めるようになっています。そのため、この団地は通称リトルチャイナとも呼ばれています。
平日の昼間に訪れたのですが、団地内の公園で遊ぶ若い親子のほとんどが中国語で会話をされていた他、団地内の標識やお店もすべて中国語での記載もされており、新鮮でした。
この芝園団地、一つの特徴として、外国籍の住民と日本人の住民との交流が近年になって活発になっていることがあります。例えば、外国籍住民が増え始めた90年代初頭には、ごみの出し方や生活リズムの違いなどで多くの問題が発生したそうです。しかし、その後、町会を中心に地域の方々とそこに住む外国人の方々の協力によって、現在では地域の町会の役員にも外国の方が入ったほか、防災訓練などにも多くの方が参加することになっているとのことです。また、数年前に団地内のベンチで差別的な書き込みが発見されたそうですが、これについても、団地の方々がこうした事を許さないという意思を込めて、外国籍の方とともに、そのベンチを共同で塗り直し、一つの作品として展示しているとのことでした。
多文化共生という言葉はよく使われていますが、それを実践するのは非常に難しいと思います。その中で、地域の方々と外国籍の方が共同して運営を行っている芝園団地の在り方はすべての地域にとって参考になるものだと思います。