本日、第四回練馬区議会の会期が終了しました。

今回の議会では、特に認可保育所と区立幼稚園の保育料の改訂が大きな議論となりました。
今回の改訂、特に認可保育所については、全体の7割以上の方にとっては実質値上げとなる、また値上がり幅が大きい家庭も非常に多いという点で問題が多いものです。
最終日には、保育所保育料の改訂について、反対の立場から以下のような討論を行いました。
 
<以下引用>

認可保育所の保育料の改訂について、練馬区は平成10年から保育料を一度も変更しなかったこと、および練馬区の保育所運営経費にしめる保育料収入の割合が23区で最低であることを理由に、保護者の「応能負担」の考え方に基づき改訂を行うと説明してきました。
しかし、この改訂には、区としての保育料の負担の在り方に対する明確な姿勢や考え方が示されていないこと、実質的に70%を超える世帯での値上げとなること、また、値上げ幅が非常に大きくなる世帯が数多く発生すること、という課題があります。

そもそも、これまで保育料が改定されなかったこと、そして、23区でいちばん低かったということ、それ自体が悪いわけではありません。ですので、改訂の検討に際しては、ただ他区の水準にあわせるということではなく、前提として、保育料負担はどうあるべきなのか、また、何が適正な水準なのか、区の姿勢や考え方を示すことが必要でした。
しかし練馬区は、保育料の改定は他区にあわせることを目的にしているわけではない、との説明を繰り返し行う一方で、保育料負担のあり方に関する明確な考え方や姿勢は最後まで明らかにしませんでした。

また、本議案では、8月の素案の修正として、高所得世帯への保育料の値上げ幅の引き下げも発表されましたが、これは改訂によって高所得世帯の保育料が23区で一番高くなってしまったことも理由の一つとの説明でした。このことからは、保育料の改訂に際し、練馬区が自らの判断に基づき、主体性をもって行ったのではなく、他区との均衡を図ることを第一にしているような印象も受けます。

続けて、改定案では、値上げ幅が非常に大きくなる世帯が数多く生まれているという課題があります。

今回の改訂にあたって、区は保育料算定の基礎となる「階層」の基準を所得税額から住民税額へと変更しました。この中で、階層の移動が大量に発生し、収入は変わらないのに、階層だけあがってしまう方が全体の44%にも達します。練馬区は、保育料は平均にして13.7%、月額で約2500円上がる、こう説明してきました。しかし、これはあくまでも改訂前後で同じ階層にとどまった場合であり、階層があがる44%の方の値上げ幅は非常に大きいものになります。

例えば、世帯年収が236万円~245万円の場合、改訂の前後で階層が変わらない場合は、低所得ということで保育料の値上がりはありません。しかし、実際にはこの階層の32%、90名以上の方で階層が上がってしまうのです。特に、2階層上がる15%の方にとっては、0歳~2歳では、これまでの保育料が月額3,100円だったのが、2.8倍の8,800円にもなります。

練馬区は応能負担の原則で、低所得世帯の値上げ率は高所得世帯よりも抑える、こう説明しています。しかし、こうした階層間の移動は全く考慮されていないのです。

国の方針として「段階的な幼児教育の無償化」も言われており、また、練馬区は「子育てしやすい町ナンバー1」であることを大きく宣伝してきた中で、今回の改訂案はこうした流れにも明らかに逆行するものです。

<ここまで>

これらの理由から、議案に対して反対しました。最終的には、賛成多数で可決されてしまいましたが、今回の値上げは非常に問題が多いものであり、特に低所得世帯への支援をしっかり行うよう、今後も訴えていきます。