一般質問、最後のテーマには精神障害の方への福祉手当を取り上げました。
障害者の生活を支える福祉手当、練馬区ではこれまで精神障害者だけは対象とされていませんでした。23区では6区が既に支給を開始しており、練馬区でもただちに実施すべきと訴えました。
以下、要約をご報告します。(全文は区のページをご覧ください)
<ここから>
一般質問①
福祉手当について、知的や身体等の障害に比べて精神障害者だけが排除されていることに正当な根拠は見出せません。障害者基本法の成立によって、精神障害者に対する支援、福祉が法律上も位置づけられています。福祉手当の対象者を精神障害にも広げることについて、練馬区議会では家族会から2011年以降、何度も陳情がなされ、今年の6月、ついに所管の委員会で、全会一致で採択されました。練馬区が実施した「障害者の住まい方に関する調査」によると、精神障害者の所得は他の障害に比べて非常に低く、福祉的就労の工賃も含めた賃金と手当を合わせても1か月で10万円未満が63%にも達しています。精神障害者が地域で経済的に自立して生活するために、福祉手当の支給は重要な意味を持つはずです。そこでまず、1)福祉手当は練馬区の事業であり、来年度から速やかに実施すべき。と訴えました。
区の回答①
第二回定例会において、精神障害者に対する心身障害者福祉手当の支給を求める陳情が全会一致で採択されました。現在、他の自治体の状況も参考にしながら検討を進めている所です。
私の感想①
区として約束はしませんでしたが、全会一致で陳情が採択されたこと、そして、他の自治体の状況を参考にしながら検討を進めたい、ということから来年からの実現に向けて前向きの答弁だったと思います。
一般質問②
福祉手当について、他区の実施状況を見ると対象者は手帳1級の所持者に限定されています。練馬区でも一級に限定した場合、対象はわずか180名になります。福祉的な就労などをされている方には2級相当の方も数多います。そこで、2) こうした人々も支給の対象となるように検討すべき。と訴え、福祉手当を二級に拡大することについて見解を求めました。
区の回答②
現在、他の自治体の状況も参考にしながら検討を進めている所です。
私の感想②
他区のように、支給を一級に限定するのではなく、二級まで拡大すべき、と訴えたのに対し、区の回答は他の自治体を参考にしながら検討を進める、という回答でした。しかし、知的障害、身体障害の手帳の所持者のうち、福祉手当の対象となっている方は、身体では66%、知的で100%にも関わらず、精神障害ではわずか3.2%となります。こうした状況では障害間の公平さを欠くと言わざるを得ません。
一般質問③
関連して、精神障害者の通過型グループホーム退所後の家賃補助について質問しました。
通過型グループホームは概ね3年の間に、少人数で一般の住宅での共同生活を営みながら、必要に応じ、食事の世話や日常生活における相談などを通じて入居者の自立生活を促進することを目的に東京都が独自に制度化したものです。
制度について東京都は、「病院や家族の下での生活から「通過型」グループホームでの共同生活へ移行するだけでなく、一般の住居での単身や夫婦での生活への移行を目指す。」としています。しかし多くの場合、経済的な理由から、グループホームを出るためには、生活保護を受けなくてはいけないという現実があります。生活保護ではなく経済的な自立を促進するためには、工賃や賃金と並び、福祉手当を含めた手当、特に高い家賃を補完する形での家賃補助が必要です。そこで、1) 精神障害の方に対する、一般の住居をも含めた家賃補助の実施すべき、と訴え見解を求めました。
区の回答③
誰もが安定した自立生活を目指すことができる支援が大切であると考えており、現在、限られた方に対しての家賃補助は考えておりません。
私の感想③
区の回答は「自立生活」を目指す支援が必要だから家賃補助は必要ない、ということでした。しかし、経済的にも安定した自立生活を送るためにこそ、生活保護ではなく、手当という形での家賃補助が必要だと考えます。
区の答弁、精神障害の方に対する福祉手当については前向きな答弁でしたが、その範囲、また家賃補助の実現は極めて不十分だったと感じています。精神障害者の方々が地域の中で経済的に自立して生活するために、福祉手当の範囲の拡大と家賃補助の早急な実現を今後も引き続き求めたいと思います。