5月9日から一週間、カリフォルニア州のサンフランシスコ、バークレー、サクラメントに滞在しました。今回の目的の一つがアメリカの地方議会の様子を学ぶことでした。

最初の目的地、バークレーはカリフォルニア大学バークレー校(UC Berkley)があることで有名な学生街。人口は10万、予算規模も練馬区の7分の1ですが、アメリカでもっとも進歩的な地域の一つで、国内で最初に炭酸飲料に対する税(炭酸飲料税)をかけたことでも知られています。

バークレー市議会の傍聴をしたのですが、あまりにも練馬区議会と違いが大きくて愕然としました。そのいくつかをご紹介します。

<おどろいたこと① 傍聴席はほぼ満席!>
その日始まったのは夕方の6時。始まる前には傍聴席はほぼ満席に。小学生からホームレス、外国人、障がい者と多様な人たちが参加していました。

<おどろいたこと② 議員の8割が女性、議員は傍聴席に向かって座ります>
バークレー市議会は市長と8人の議員、そのうち6名は女性、人種もインド系の人、アフリカ系、アジア系、と多様で年齢も20代から70代の方まで非常に多様でした。
議場も独特で、議員は傍聴席を向いて座り、市長が司会を行います。当日の資料は事前にネットで公開され、当日は紙でも配られるので、誰でもすぐに内容がわかります。

<おどろいたこと③ 誰でも発言できます!>
議会には市民からの広聴(public comments)の時間が設けられていて、どんなテーマでも時間内(一人1分程度)で話すことができます。今回も20人以上の方が列を作って、それぞれの思いを話していました。例えば、ホームレスの方からこの1年で数十人の方が路上で亡くなったという訴えや、市のお金の使い方がおかしいのでは、といった意見などが次々にあがり、それに対して議員や市長が一つ一つ回答していました。

<おどろいたこと④ 国とは全く反対の政策もとっています!>
カリフォルニア州は特に非正規の移民の人権を保障するために、国の移民局(ICE)に対して個人情報を提供することを拒否しており「サンクチュアリ(聖域)」と呼ばれています。県にあたる州が国の方針に明確に反対する、ということも驚きでしたが、さらにバークレー市議会では、アマゾンなどが移民局(ICE)に対して移民の個人情報を提供している、ということで、こうした会社に仕事を発注しない、ということを決定しました。
また、ベネズエラ政府に対して、アメリカが不当に介入しないようにという意見書を全会一致で可決していました。国の方針に対して、当たり前のこととして市として明確に反対の意見を述べる、という姿勢は印象的でした。

練馬区では、議会の中継は行われず、資料すら傍聴者には配られません。また、議会中に寝ている議員もたくさんいます。練馬でも議会改革が訴えられていますが、バークレーとのあまりの差に愕然とするとともに、地方議会はどれだけ市民に近づけられるかが大切であり、学ぶことは多いと感じました。