年に一度の一般質問、どんなテーマでも扱うことができる貴重な機会です。私がこの間訴え続けてきたのは「マイノリティが住みやすい社会は誰にとっても住みやすい社会」。
今回の一般質問では性的マイノリティ、外国籍住民(ヘイトスピーチ)、子どもの性教育、などをテーマに取り上げました。今回は性的マイノリティの訴えについて概要をご紹介します。

●今回の質問の主なもの
他の区で当たり前のように導入されたパートナーシップ制度、なぜ練馬区は頑なに拒否しているの?区内の小中学校に一人もLGBTの子がいないって区は思っているの? 練馬区の回答は…。詳細は後ほど公開される区の議事録をご覧ください。

ここからです…

これまで何度も練馬区でもパートナーシップ制度を導入すべきと訴えました。しかしそのたびに「現実的な効果が不明で、現行法との整合性に問題がある」として導入に向けた検討を拒否してきました。パートナーシップ制度はただ、愛する人の手術に家族として立ち会いたい、愛する人と一緒に区営住宅に暮らしたい、そんな当たり前のことを行政に認めて欲しい、それだけのことです。誰かの権利をおかすわけではなく、誰かを傷つけるわけでもない、たくさんのお金がかかるわけでもありません。

<質問①>
この一年で社会も大きく変わりました。これほどパートナーシップ制度が社会で広まりつつある中にあっても区の「現実的な効果が不明」という考えは今でも変わっていないのでしょうか?
<区の回答>
制度を導入したものの利用する方が少ない、対応する事業が少ない、パートナーを解消した場合の対応などの課題も多い、と導入自治体から聞いています。現実的な効果は不明であるという認識は変わっていません。パートナーシップ制度の導入は現在も考えていません。

<質問②>
練馬区は性自認や性的指向を理由に結婚が認められないという現在の状況を、都が禁止している事実上の不当な差別にあたるとは思わないのでしょうか?
<区の回答>
憲法では「婚姻は両性の合意に基づいてのみ成立する」とされていて、差別にはあたらないと認識しています。今年、憲法に抵触するとの訴訟が起こされました。裁判の経過や国の動向を注視します。

<質問③>
練馬区は国に対して同性婚が法制化されるよう積極的に働きかけを行うべきです。
<区の回答>
国に働きかけることは現在、考えていません。

<質問④>
第5次計画においても、性的マイノリティの権利を明確に位置付け、より取組を強化すべきです。
<区の回答>
男女共同参画推進懇談会の提言に加えて、区民、区議会のご意見を伺いながら第五次男女共同参画計画の策定を進めます。

<質問⑤>
事前に区内の小中学校に在籍する性的マイノリティの児童、生徒の数を伺いました。驚いたことに、区の認識では学校には一人もいないという回答でした。区内の学校に一人も当事者がいないということはありえないのでは?
<区の回答>
性的マイノリティの児童生徒が小中学校に在籍している可能性については承知しています。

<岩瀬の感想>
正直にいうと、区の回答にはがっかりしました。区はパートナー制度について「現実的な効果がない」としていますがあまりに当事者の思いを軽んじているものです。区議会にも当事者の方々が制度の導入を求め陳情を提出し、1000人以上が署名しました。この制度は当事者自身にとって精神的にも大きな意義を持つものです。また、区は性的マイノリティの児童生徒が小中学校にいる「可能性」は承知している、と答えましたが、可能性ではなく、現実に存在しているのです。私も実際に相談も受けています。区は性的マイノリティの存在に目を背けるのではなく、積極的に向き合うべきです。ただ、前進だと感じたのは、今後の男女共同参画計画で、懇談会の提言をはじめ、区議会や区民の意見を反映させるという考えが示されたことです。次回の計画に反映されるようにぜひ今後も議会でしっかりと訴えていきたいと思います。

(写真はレインボープライドにLGBT自治体議員連盟として参加した時のものです)