これまで何度も、練馬区で働く非正規公務員(会計年度任用職員)の待遇の改善を訴え続けてきました。多くの方は年収200万円以下で9割は女性。ジェンダーの問題であり、官製ワーキングプアとも呼ばれ大きな社会問題にもなっています。今回は特に、残業代が全くといっていいほど払われてこなかった点を指摘し、早急に改善を求めるとともに、何年働いても給料が変わらないという実態について経験による加算を求めました。私の訴えと区の回答を報告します。(これまでの訴えはこちら。https://iwasetakeshi.net/2022/06/working-poor-2/)
【はじめに】
練馬区では2,681名の会計年度任用職員が働き、職員全体の4割近くに達しています。その9割は女性、10年以上働いている方も多くいます。どれほど働いても給料は変わらず、来年度の雇用すらも保証されていません。
【岩瀬の質問. 残業代の支給】
最近、職員の方から残業代が全く支払われていないとの相談を頂きました。確認したところ、2700人近い職員のうち昨年度、残業代が払われたのはわずか6名。なぜこれほど少ないのか、残業と認められるには上司からの命令が必要だからです。つまり、命令が無い限りは全て自身の意思によるサービス残業となります。職員の方からは、あまりに条件が悪い中で欠員が続いており、住民の方々のために残業せざるを得ないとのことでした。なぜこんなことが起こるのか、部署ごとの欠員状況を把握するとともに、実態にあわせた残業代の支払いを求めます。区の見解をお聞かせください。
【練馬区の回答】
超過勤務はその必要の都度、上司が職員に命令し、それに従い実際に勤務した実績に対して手当を支払うものです。なお、各所管では必要に応じて職員の募集を随時行うなど、人材確保に取り組んでいます。
【解説】
命令しない限り手当は払わない、という区の回答はサービス残業を事実上黙認するものです。人員不足についても、各所管に任せているとして、区全体では把握するつもりもないというもの、あまりに残酷ではないでしょうか。
【岩瀬の質問. 経験による加算】
区は業務の内容に応じて給料を払っているので、経験による加算や昇給はないとのことですが、たとえ同じ業務だとしても、経験によって質や効率が異なるのは当然です。区として経験による加算を導入することを改めて求めます。
【区の回答】
報酬額は職務内容を勘案したうえで設定しています。再度の任期の際に職務内容等に特段の変更がない限り、水準を変える必要はないと考えています。
【岩瀬の思い】
練馬区は今後も命令しない限り残業代は払わず、経験による昇給もしないとのこと。非正規公務員の方が好きで残業しているかのような回答でした。職員の方からは「正規職員と同じような仕事をしても月収は新卒採用以下、私たちは機械や道具ではない、一人の個人として尊重してほしい」といった訴えも届いています。誰よりも人権を守らなければならない、練馬区がこうした対応を続けるということ、あってはならないことです。今後も対応を求め続けます。