区民生活委員会で議案69号「練馬区国民健康保険条例の一部を改正する条例」の質疑が行われました。

条例の概要
1 国民健康保険法の一部改正により、被保険者証が廃止されることに伴い、被保険者証の返還に応じない場合の罰則規定を削るほか、規定の整備を行う。
2 国からの通知に基づき、急患等として医療機関等を受診した被保険者に係る保険料の納付について、必要に応じて1年間徴収を猶予することができる規定を設ける。
施行日:令和6年12月2日

条例を簡単に説明すると…

  1. これまで保険料を滞納している方は被保険者資格証明書を発行していましたが、12月のマイナンバーによる紙の保険証の廃止によって「特別療養費 資格確認書」という名称になり、法律の根拠が変わります。
  2. 被保険者が急患として治療を受けた際に認知症などで、資産があるかないか分からいない場合、条例上、支払いの猶予が6か月だったものを1年に変更されます。
  3. これまで保険証の返還を拒否した場合は罰則があったが、マイナ保険証により罰則規定もなくなります。

何が問題なの?

→条例改正はマイナ保険証の導入によって、紙の保険証の廃止に伴う措置になります。

マイナ保険証の低い利用率!

そもそも、先日の報告の中で、マイナ保険証の利用率について、7月現在では国全体でも11.13%にとどまったのに対して、練馬区ではさらに低く10%に満たないという衝撃的な数値が報告されています。

マイナ保険証を使えない診療所も!

また、一月の報告では、区内医療機関等におけるオンライン資格確認の導入状況について、昨年12月現在では1407機関中の1179機関、83.8%との数値でした。直近の数値を委員会で確認した所、練馬区としては把握していないとのこと。どれくらいの診療機関でマイナ保険証が使えないか、区も把握していない中でなぜ紙の保険証を廃止する必要があるのでしょうか。

顔認証についても、昨年12月より導入。区内6カ所で開始されていますが、現在の登録件数はいまだに数十件のみです。要介護の方、2万3千人以上いるなかで、全く進んでいるとはいえません。

そもそも政府の方針が不透明!

林官房長官は現行の保険証の廃止に反対の声が上がっていることを念頭に「不安を解消するために見直しを含めて適切に対応していきたい」と突如として持論を展開。石破氏も延長を示唆しています。そのなかで、今条例改正を行ってしまったら、見直しの際にまた条例を改正する必要が出てしまいます。

いくらかかるのかも不明!

紙の保険証廃止に伴って郵送される資格確認書を新たに作って送るのに、どれだけの費用と手間がかかるのでしょうか。厚労省が試算した資格確認書の経費(=健康保険証の経費)は、国保、後期高齢の1人あたり年間469円とされています。(印刷代64円+郵送代84円+320円その他経費=469円)

さらに、医療保険者側の問題として、マイナ保険証を持っていない人に資格確認書を正確に発行するためには、システム的な管理(人の手当て含む)が必要ですが、厚労省試算にはこうした必要経費が含まれていません。被保険者と保険者双方に多大な負担を課すことになります。

マイナ保険証の読み取りによる不具合も!

全国保険医団体連合会(保団連)が2024年1月31日に発表した調査結果によると、2023年10月1日以降のマイナ保険証関連のトラブルで、カードリーダーのエラーなどによる読み取り不能の件数は2,660件ありました。また、回答した8,672医療機関のうち59.8%で何らかのトラブルが発生したとのこと。しかし、練馬区で何件のトラブルが発生しているのか区も把握できていないとのこと。なぜこんな中で、紙の保険証を廃止するのでしょうか?

岩瀬の意見

これほどの問題が山積する中で、今すぐに紙の保険証を廃止する必要は全くありません。区として区民の利益を第一に考えるのであれば、条例改正は行わないべきです。これまでの訴えはこちらをご覧ください。