子どもたちの学ぶ環境を守るために欠かせないのが、学校施設の改修や整備です。ところが今、全国の自治体で「学校施設環境改善交付金」という国の補助金が大幅に減り、学校改修に支障が出る事態が広がっています。練馬区でも採択率がかつての100%からわずか30%へと急落。老朽化が進む学校の整備に深刻な影響が懸念されます。10月の決算特別委員会において練馬区の状況を確認するとともに対応を求めました。当日の質疑の概要をご報告します。
近年、区内の小中学校では老朽化に伴い、エアコン設置や校舎改修のニーズが高まっています。そんな中、自治体が学校を改築・改修する際に、国が費用の一部を支援する「学校施設環境改善交付金」が極めて重要な役割を果たしています。
これまでは自治体の申請により、ほぼ100%の採択がなされていました。ところが、昨年度から不採択となるケースが増え、今年度に入って急増しています。全国の自治体で「重大な問題」として報じられています。
目黒区では今年度、国に対して26件申請し18件が不採択となりました。世田谷区でも不採択案件が急増し、「断腸の思いだが、補助金なしでも予定通り工事は実施する」と回答しています。こうした他区の状況からも、全体として厳しい状況にあることが明らかです。
【質問➊ 国への申請、採択の件数は?】
練馬区でも2023年度までは国に申請した案件がほぼ100%採択されていました。そこで、昨年度および今年度の国への申請件数・採択件数をお答えください。
【練馬区の回答】
昨年度:99件申請 → 73件採択
今年度:58件申請 → 20件採択
【岩瀬の意見】
これは非常に深刻な数値です。2023年度までは採択率100%でしたが、昨年度の採択率は約73%、今年度はわずか約30%にまで落ち込んでいます。
【質問➋ 不採択となった理由は?】
今年度、第一回目の申請で不採択となった主な案件はどのようなものか。また、全国で不採択が増えた理由について区としての認識もお尋ねします。
【練馬区の回答】
今年度不採択となった案件には、トイレ改修、体育館照明設置、電気錠設置などがあります。国からは不採択の明確な理由提示はありませんが、国が予算枠内で体育館の空調新規設置に重点をおいたため、他の事業の優先度が下がったと推察しています。
【質問➌ 事業実施への影響は?】
国の予算総額が変わらない中、物価高騰や体育館の空調設置の増加によって、他の項目で不採択が増加しているとのことです。
練馬区においては、申請が全て採択されることを前提に予算化していたため、財政への影響も極めて大きくなっています。国からの歳入額・今後支払われる予定の内定額から計算すると、昨年度では少なくとも2,500万円、今年度は既に少なくとも2億5千万円ほどのマイナス影響が出ています。他の自治体では工事中止なども発生していますが、練馬区における事業執行への影響はいかがでしょうか?
【練馬区の回答】
改築や改修工事に影響が出ないように対応しています。
【岩瀬の訴え 他自治体と共に国へ働きかけを!】
このような状況を受けて、全国都道府県教育長協議会は5月、補正予算等を通じて必要な財源確保を関係省庁に要望しています。 練馬区としても、他自治体と連携し、国に対して対応を求めるべきと考えます。また、来年度の予算にも非常に大きな影響が予想されます。今後、建て替えや大規模改修に支障が出ないよう、区として適切な対応を早急に求めます。