先日、練馬区の待機児童問題について駅頭で訴えていたところ、お年を召した女性からお声がけをいただく。

お孫さんが保育園に入れなかったのかな?と思ったら、「大阪市の中学校長が卒業式で発言した『女性にとって最も大切なことは二人以上の子どもを産むこと』についてどう思うか」とのこと。こういった女性への差別発言は許せない、と伝えたところ、大変な勢いでご反論いただいた。

理由を伺うと、彼女は現在83歳、お連れ合いがほとんど生活費も入れないような人で、それでも大変な苦労をしながら働きつつ、三人の子どもを一人で育てあげたとのこと。その中で、子どもはお互いを支えあうべきだと実感した、また、本当に信頼できるのは家族だけ、だからこそ子どものためにも、三人以上産んだ方がいいということを、自身のご経験に基づいて滔々と、30分以上かけて話をされた。

彼女の生き方や人生に対して深い敬意を感じながらも、しかし、主張についてはしっかりと反論をさせていただく(というより、私は固定的性別役割分業は良くないという観点から反対であると申し上げていたのだが、彼女は女性だからこうあらねばならないという話というより、家族の大切さを訴えていたので、根本的に意見は対立していないのだが)。最初は攻撃的だった彼女、お話する中で少しずつ笑顔になっていた。そして、別れ際には「あなたの言いたい事もわかる。そして、私ももう話したい事を全部話せたから、いつ死んでもいいわ」とおっしゃり、微笑みながら帰っていかれた。

知らない方とこんなかたちで繋がり、対話・対峙し、そしてその人生の深い部分に少しでも触れることができたということ、ありがたい経験だった。

(写真は練馬区役所から見た夕日です。)