本日から文教児童青少年委員会の視察。
二泊三日で弘前市、函館市、そして七飯町の各自治体の施設を訪問します。

初日は弘前市にて、同市が進めているICT教育の推進について視察を行いました。
弘前市は青森県で三番目に大きな都市で人口17万人。主な産業は農業で、リンゴは全国生産の25%を担っているとのことです。

同市では、子ども達の「日常的なICTの活用」を目指して、授業改善、授業づくりに積極的に取り組み、平成27年度より「弘前式」ICTを導入しているとのことでした。

「弘前式」ICTでは小中学校それぞれ2校をモデル校とし、モデル校のすべての学級に対して、「弘前式」ICT3点セット(書画カメラ、教員用タブレット、電子黒板機能付きプロジェクタ)を整備するとのこと。無線LANを各教室に配備するとともに、委託を受けたICT支援員が週一回の割合で巡回し、授業支援や教材作成支援なども行っています。

1年の実践を通じて、児童生徒の意欲を理解が深まったという評価がある一方で、タブレットのトラブルが多いといった問題やネットワークの煩雑さ、ICT支援員が学校の支援ニーズと一致していない、といった課題も見えたとのことです。以前、佐賀県の武雄市も視察しましたが、そこでも機器の問題がありました。

他にも、研修や教材をつくるために教員の負担がさらに増えてしまう、実際の授業ではほとんど使われない(ある自治体では、環境を整備したにも関わらず、ICTを活用した授業は全体の5%程度)、機器のトラブルが頻発する、教材の種類が少ない、といったことに加えて、子ども達の考える力が育たなくなるのでは、という不安も指摘されています。

確かにICTの効果も期待はできるものの、現時点では、弘前に限らず、機器の導入ありきで、どのように授業の中に位置付けていくのか明確になっておらず、各教員の能力、熱意によって差が発生しているという印象を受けました。

また、ICT導入が学力の向上につながるという意見もありますが、弘前市の担当の方からは、ICTはアナログをサポートするためのものであり、デジタル化することが学力向上に直接つながるものではない、という意見もありました。

練馬区でもICTの導入が進められていますが、設備だけを整えるのではなく、まずはICTをどんな目的で、どのように活用するか、しっかりと方針を示すことが必要だと改めて感じました。