子どもへの虐待、日々ニュースでも報道されているように年々深刻化しています。
全国の児童相談所に対する児童虐待に関する相談件数は、平成27年度(速報値)には10万3,000件、10年間で3倍以上になっています。

練馬区での虐待に関する相談も545件(平成27年度)あり、そのうちの40%は就学前(5歳まで)の子どもへの虐待です。

そんな中、昨年(2016年)の児童福祉法の改正によって、これまでは都が設置、運営してきた児童相談所を23区でも独自に設置できるようになりました。

児童相談所を設置することで、区においても虐待を受けた子どもの一時保護をはじめ、児童福祉司、児童委員等による子供やその家庭の指導や、両親・家庭による子供の育成が難しい場合の里親への委託の手続きができるようになります。

法律の改正後、23区を対象に行われたアンケートでは、22区は児童相談所の設置に前向きで、16区が5年以内に児童相談所を開設すると回答しました(平成28(2016)年8月6日 読売新聞)。

そんな中、児童相談所設置について、23区で唯一消極的なのが練馬区です。

児童相談所設置について、練馬区の考え方として、児童の主な処遇先である児童養護施設は都内外に分散していて広域的な調整が必要でそれには広域行政が望ましい、職員には高い専門性が必要性で、その確保と育成には東京都のノウハウが必要である、児童相談所の事務について東京都と十分な協議が行われていない、などとしています。そして、児童相談所を設置する代わりに、都の児童相談センターとの連携強化を図るとしています。

もちろん人員の確保や育成などは重要な事項です。しかし、同じ条件にもかかわらず、他の22区は都との調整を続けながら前向きな検討を行っており、中野区は児相機能を備えた総合子どもセンター(仮称)を2020年度に開設し、江戸川区、板橋区も21年度までには開設する予定です。人口が73万人を超え、特に児童に対する虐待問題が増加している中で、練馬区として支援の一体的な実施をするために、ぜひ児童相談所の設置に向けた前向きな検討を行うべきだと思います。