先日、「大泉わくわく講座 樹木医からみた大泉のまちづくり」を行いました。この講座、地域に関わりのある方をお招きして皆さんとともに、身近な問題について考えるというもの。第一回目は大学の恩師で憲法学者の樋口陽一さん、二回目は大泉での市民運動を長年にわたって支えてきた歴史学者の和田春樹さん、そして、三回目の今回は、大泉のみどりやまちづくりを考えることを目的に、地域で活躍する樹木医の安東信さんをお招きしました。
今回は特に、地域に密着した課題ということもあり、どれだけの方がお越しになるのか不安だったのですが、近所の方々をはじめ多くの方が集まってくださり、会場はあっという間に満員に。
安東さんのお話、とても具体的でした。
「目の前の通りのあの桜の木は藤沢周平の小説に登場していて…」とか、「デニーズの前の桜は一本だけ品種が違っていて…」といったように、何気なく通り過ぎていた身近な木々の歴史、また特徴を話す姿にすぐに惹き込まれてしまいました。
そして、緑とまちづくりの関係について。「練馬区は関越道路の真下につつじを植えたけれど、あっという間にすべて枯れてしまった。そもそも日当たりも水はけも悪いこんなところに植物を植えるという考え自体が間違っているんだ。地図で線を引くように、空地を見つけては植物を植えようとする、こんなやり方ではいけない。木は環境を選ぶことはできない。だから、木々にとって最適な環境を考えなくてはいけない。自分のことだけを考える、そんな社会ではだめなんだ。」という言葉、非常に印象的でした。
練馬区は「道路をつくればみどりが減るのではなくて、逆に、つくることでみどりが増え、また、万が一減らす場合には、必ず同等以上に増やすと。そしてまた、むしろ積極的に道路をつくることでみどりを増やして、環境を改善すると、そういった取り組みを進めていきたいと私は強く念願しております。」(平成27年、ねりまのみどりを語る会)と言っています。道路を作ってその両脇にみどりを植えて面積を増やす、こうした考えは、本来あるべきみどりとの共生、という観点とはなじまないと思います。
練馬区は23区でもっとも緑被率が高い自治体ですが、この数年間で急激に低下しています。そして、大泉は過去5年間で緑が大きく失われている地域の一つです。町が大きく変わろうとしていますが、地域の魅力であるみどりをしっかりと守りながら街づくりが進められるよう、これからもしっかりと取り組んでいかなければと改めて思いました。