第4回定例会の最終日、会計年度任用職員の給与を引き下げる議案について、会派を代表して反対討論を行いました。

そもそも、会計年度任用職員が導入された際には、正規職員との均等待遇や、同一労働同一賃金の実現が大きな目的の一つでした。しかし、どんなに働いても給料は変わらず、連続の雇用は4回まで、来年度の雇用も保証されていない。もともと待遇不均等である中で、期末手当の減額のみ、正規職員と「平等」に扱うということは、公正な処遇とはとても言えません。この間、たくさんの当事者の方からもご意見を頂きました。採決では、私たち(インクルーシブな練馬をめざす会)と共産党の10名だけが反対、圧倒的多数の賛成で可決されましたが、今後も会計年度の方々の待遇改善を訴え続けます。

【ここからが反対討論の内容です。】
議案121号 練馬区会計年度任用職員の給与および費用弁償に関する条例の一部を改正する条例に「反対」の立場から討論をします。

本条例案は、練馬区の正規職員の給与引き下げにあわせ、会計年度任用職員においても0.15か月分の期末手当を引き下げるものです。今回の変更によって会計年度任用職員の給与は平均にして1万8,500円、16日勤務する場合では約3万円分もの引き下げになります。

これまでも会計年度任用職員の低賃金は問題となっており、会計年度任用職員として働く方の7割は年収200万円にも達していません。こうした状況は「官製ワーキングプア」ともいわれ大きな社会問題にもなっています。
練馬区では現在、すべての職員の4割以上にあたる2,852名が会計年度任用職員として働き、そのうちの9割近くが女性です。ジェンダー平等や、多様な生き方を目指すとする第5次男女共同参画計画で練馬区は女性の非正規雇用率が57.0%と厳しく指摘していますが、練馬区自身がこれだけ多くの非正規雇用を生み出していることを自覚すべきです。
練馬区は現在の状況について「会計年度の方々の多くは望んで今の仕事をしている。」と言っています。しかし、私に届く声は全く異なるものです。「確かに今の仕事は望んでいますが、今の処遇を望んでいるわけではありません。「頑張って正規になれば」というアドバイスもいただきますが、その門はあまりに狭く私はもうとっくに年齢制限でそのスタートにすら立つことができません。」そんな声も上がっています。

今年の4月、公務非正規女性ネットワークが全国の会計年度任用職員を対象にアンケートを実施したところ、45.8%の方がメンタルの不調を訴え、93.5%が将来への不安を感じているという結果も出ています。
特に将来への不安については、次年度への更新への不安で抑うつ感が強いと訴える方が多くいます。経済的不安定さは精神的不安定さにも繋がっています。

「10年以上、正規の公務員と同じような仕事をしてきましたが年収は200万円、新卒の方よりも低い数字です。来年も働けるかわからずいつも不安です。仕事がきついなど声をあげたくても、雇止めが怖いので我慢することしかできません。」といった声も届いています。

そもそも、会計年度任用職員が導入された際には、正規職員との均等待遇や、同一労働同一賃金の実現が大きな目的の一つでした。しかし、どんなに働いても給料は変わらず、連続の雇用は4回まで、来年度の雇用も保証されていない。さらに、近年では給与を増やすときは勤勉手当を上げるため、勤勉手当のない会計年度任用職員は減る一方です。昨年の4月に会計年度任用職員の制度が導入されてから、期末手当の引き下げは既に2回目、制度開始からわずか1年半で0.2か月分、16日勤務の方にとっては4万円分もの減額となっています。

もともと待遇不均等である中で、期末手当の減額のみ、正規職員と「平等」に扱うということは、公正な処遇とはとても言えません。

わたしたちはどんな社会を目指しているのか、非正規の方、一部の方々に犠牲や負担を押し付けて経済を反映させることでいいのでしょうか。

練馬区は会計年度任用職員の処遇改善について、「これでコンプリートではなく、国の動きを注視する」といっていますが、国の動きがあまりに遅く不十分な中で、まずは練馬区から勤勉手当相当分や経験加算、有給での育休、介護休暇等の当然の権利を率先して導入すべきです。

会計年度任用職員の方々の権利を守ることこそが、練馬区の責任であると訴え議案121号に対する反対の討論といたします。