令和5年決算審議、全款補充質疑では不登校の子どもへの支援として現在区内の小学校5校、中学校15校の合計20校で実施している校内別室指導員の全校配置と充実を訴えました。

はじめに

練馬区の令和4年度の不登校児童生徒の数は過去最多の1,386名、令和2年度からのわずか2年で4割近く増えています。その結果、小学校での出現率は1.67%、中学校では6.85%におよんでいます。中学校では15人に一人が不登校の計算です。さらに不登校の定義は年間30日以上登校できなかった子どもの数ですので、登校渋りの子どもなどを含めるとさらに増えることになります。

練馬区では昨年度から「校内別室指導支援員の配置事業」を開始。こちらは東京都の事業「校内に居場所を確保し、支援員による相談、学習指導等を実施」することを目的に小学校5校、中学校15校で実施しています。

訴え1.周知の徹底を

同事業は非常に意義あるものですが、昨年度の利用は、小学校で年間61名、中学校で134名。特に、中学校では、一度でも参加した生徒の数が1年を通じて3名から15名程度であり、支援員からは充分に活用されていないとの訴えが届いています。

その理由の一つに、十分な周知が行われていないことがあります。
周知は各校に任されていて、全ての児童生徒に対し案内している学校がある一方で、学校が必要性を判断した子どもだけに個別に連絡しているケースも存在します。不登校に限らず全ての児童生徒およびその保護者に対して事業を周知し、少しでも辛いと感じたときの避難場所としての利用を促すべきです。

区の回答

基本は、不登校傾向にある児童・生徒を対象に、重点的に周知しています。また、個別に気がかりな児童・生徒には教員が直接声をかけて利用を促しています。

岩瀬の意見

同事業は登校はできるが教室への入りづらさを訴える子どもや、登校しぶりのある子ども達の居場所としての目的もあることから、なるべく多くの家庭に知ってもらうべき。

訴え2.支援員への共通理解を深めるための研修を!

同事業では支援員の果たす役割が非常に大きいものです。支援員は各校が独自に募集、採用することになっており、小学校では学校によって5名から22名、中学校では1人から6人が登録されています。

他方、支援員の資格、要件などはない中で、学校ごとに大学生、退職後の教員、PTA関係者などが活動している。しかし、現場の支援員からは、研修などが一切ない中で、不登校への共通理解が存在しません。子どもへの向き合い方や不登校への認識が異なるとの訴えが届いています。ある学校では、支援員が教室への復帰を強く促した中で、子どもが来なくなったという話も届いています。

全ての支援員が、「学校復帰が前提ではない」という最低限の共通認識を含め、事業の目的や練馬区の「不登校対策基本方針」を理解することが不可欠。そのためにも、練馬区として支援員への研修、指導を行うべきです。

区の回答

研修については、都から支援員向けの映像資料を使って個別に実施しています。新任の支援員に対しては管理職から適宜、指導するよう伝えています。

岩瀬の意見

DVDを見せるだけでは十分ではないですし、管理職に指導するよう伝えるにしても、どのように指導するかが大切。結局、学校に任せきりになっています。区としてのしっかりした研修を行うべきです。

訴え3.人件費以外の予算を

同事業では都の予算で人件費が計上される一方で、施設、設備への予算は存在しません。
学校では空き教室を活用しているが、例えば子どもが居心地よく過ごすための飾りつけなども支援員が自ら紙で作ったり、子どもと過ごすためのオセロや将棋、本などを支援員が持参したりしています。また、本来はソファなどが設置したいものの出来ないとの声も届いています。都からの人件費だけでなく、区として独自に別室指導の環境を整えるための予算も計上すべきです。

区の回答

予算については、現在、その利用実態や効果を検証しています。その結果を踏まえ、方向性を検討しています。

岩瀬の意見

同事業は不登校の子どもの居場所を増やすという意味でも大きな意味を持っています。20校に対する都の事業は今年度終了することになりますが、練馬区として独自の予算で、全校での拡大を求めます。