12月26日、稲荷山公園の整備に関する専門家委員会(第5回)が練馬区役所地下多目的会議室で開催されました。地域の住民や報道陣など30名以上が傍聴席を埋めた中で「稲荷山公園の計画地域における各エリアの役割について」が議題でした。本委員会では、前回議論された白子川の東側(右岸)の公園整備後の動線イメージのほか、白子川の西側(左岸)についても初めて案が提示され、左岸から白子川の対岸を眺めるポイントを3か所設置することなどが示されました。しかし、専門家委員会の議論の中ではそこで暮らす住民の意見は一切反映されず。傍聴した住民からは「私の家を勝手に撮影スポットにするのですか?」という怒りの声が挙がっていました。
【はじめに】
稲荷山公園(東京都市計画公園 第5・4・2号 稲荷山公園)の整備では、大泉町1丁目から土支田4丁目に広がる約10.0ヘクタールが都市計画決定をされています。現在は清水山の森の1.24ヘクタール、稲荷山憩いの森の2.2ヘクタールが緑地や公園として利用されていますが、残りの6.5ヘクタールには400戸を超える住宅地が広がっています。
【右岸エリアはどうなる?】
8月に行われた第4回目の専門家委員会では、右岸には水田や畑、林などを作る案が示されました。
(出典:第4回専門家委員会資料)
今回はさらに右岸における各エリアの役割が示されました。区の案では、清水山の森周辺エリア、川沿いの平坦地エリアなど5か所に分類し各エリアを自由に散策できるようにするとしています。委員会では公園が整備された後に現在通っている区道への対応、見晴らし台の位置、アクセスのための駐車場の整備などが議論されましたが、一番大切な今、ここに住んでいる住民の暮らしについては一言も触れていません。
練馬区は区道や下水道が周辺住民について大きな影響を与えるので慎重な検討が必要、と発言していましたが、そこで現在暮らす住民の生活は、区道をどうするかよりもよほど大切ではないでしょうか?
傍聴者からの「私達のことは見えないのですか?住民は生きているんだ、土地と一緒にしないで欲しい」という声が印象的でした。
【左岸エリアの活用】
本委員会で初めて、白子川左岸についての計画も示されました。
区の案では対象地域を5か所に分類し、左岸から対岸を眺めるポイントを3か所作るとのこと。また、委員の一人から、雨水や白子川を利用して、親水エリアを作るという案も提案される一方で、広場的に活用すべきといった声も。しかし、そこにも住民の思いは一切届いていません。横に座っていた住民からは、「なぜ、何よりも大切な我が家を池にするという話を、私達の意見も聞かずに勝手に進めているのか」との声が挙がっていました。
地域に開かれた場所に
練馬区は委員会の中で「地域に開かれた場所にしたい」と繰り返していましたが、練馬区の「地域」には立ち退きを迫られることになる400戸、900名を超える住民は含まれないのでしょうか?
住民の目の前で、住民の意見を全く聞かずに、自分たちの家が水田になる、散策路になるという話、見栄えがいいスポットになるという話を議論するのは、現在住んでいる方のことをあまりに蔑ろにしているものです。練馬区は節目ごとに住民の意見を聞くとしていますが、今こそ聞くべきです。また、いまだ多くの住民は計画の事を知りません。
なぜ既に存在するコミュニティを破壊して、最低でも200億円とも言われる税金を投入して新たな水田や畑、公園を作るのか。しかもいまだに公園整備に関わる概算額すら示されていません。それよりも今ある緑を守ることの方がよほど意味があると思います。これからも住民の声に向き合うこと、計画の見直しを求めていきます。
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