区内の小学校の保護者から全校児童と保護者宛てに地域の神社の祭礼への参加と協力を呼び掛けるチラシが配られたと相談が。教育基本法に定める学校での宗教活動の禁止に反する恐れも。一般質問で改善を訴えました。一般質問の動画はこちらからご覧ください。
はじめに
学校での地域の宗教行事への勧誘について質問します。教育基本法からは、公立学校においては特定の宗教の布教、宣伝や、祝典や行事、その案内などを行ってはならないと判断されます。
教育基本法(宗教教育)
第十五条 宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。
2 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
しかし、区内の学校において同法の趣旨に反する行為が見られます。
本年10月、区内のある小学校で全児童・保護者宛てに地域の神社の祭礼への参加と協力を呼び掛ける文書が配布されました。祭りが純粋に地域の行事として実施される限りにおいては、学校として宣伝することも理解できます。
しかし、文書の作成者は祭典実行委員会となっているものの、内容は「お神輿の町内安全渡御(とぎょ)を致しますので皆様のご参加とご協力を賜りますようお願い致します」と明記されていました。
「渡御」とは神社の祭礼において神輿等で神霊が巡幸することを意味する神道独自の用語であり、文書が宗教行事の宣伝であることは明らかです。祭礼の中でも、祝詞をはじめとした神事が行われていたと聞いています。
さらに、同校では校内放送で給食の時間に、管理職から全校児童に対して祭礼参加への呼びかけがなされ校内にも神社が作成したチラシが掲出されていたとのこと。保護者からは「学校による特定の宗教の行事への勧誘は辞めて欲しい」との訴えが届きました。
また、同校では何年にもわたり同じ内容が配られていたとのこと、公立学校は多様な信仰や無宗教の価値観を持つ子どもがいる中で、案内が特定の宗教に偏るのは中立性の原則にも反します。
1)実態および再発防止について
当該校でなぜこのような案内を行ったのでしょうか、また、今回の件を認めるのであれば地域で行われるキリスト教会のクリスマス礼拝をはじめ、仏教やイスラム教など様々な宗教行事の学校での案内を認めるのでしょうか?さらに、他の学校においても、過去に児童生徒や保護者に対して、神社の祭礼を含む宗教行事への勧誘が行われた事実はあるのでしょうか? 区の回答を求めます。
【練馬区の回答】
お神輿は元来、神道に由来するものではありますが、現在では、宗教的行為というよりも、地域コミュニティへの参加という意味で捉えることが一般的であると認識しています。教育基本法で禁止されている「宗教的活動」とは、過去の判例では、「宗教とのかかわりあいを持つすべての行為を禁止するものではなく、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に関する援助、助長、促進または圧迫、干渉になるような行為」とされています。スクールロイヤーからは、今回の事例は、判例で示された宗教的行為には当たらないとの判断を頂いており、強制したものではなく、児童と地域コミュニティが触れ合う貴重な機会であったと捉えています。したがって、今回と同様の事例については、他の学校でも行われていると認識しています。他の宗教に由来する行事への参加については、その行事が地域コミュニティにどれだけ根付いているか、地域の人がどれだけ関わっているかによって個別に判断していくものだと考えます。
【岩瀬の訴え】
区の主張する「渡御」が宗教的行事にあたらない、というのは納得できるものではありません。また、他の宗教行事については、地域コミュニティにどれだけ根付いているかなどを個別に判断するとしていますが、非常に曖昧です。
学校と地域の連携・協働は大切ですが、その中にあっても政治的・宗教的な中立性は確実に担保されるべきです。練馬区としても、一定のガイドラインを設けるなど学校と地域社会が健全な形で協力できる環境を作るべきです。今後もこの問題については訴えていきます。
もし情報やご意見などありましたらご連絡ください。