整備費が当初(76億円)の1.5倍の109億円になる見込みであることが判明した練馬区立美術館の建て替えに関連して、練馬区は整備費用や工期が妥当かを検証する第三者機関の選定を開始。委託の概算経費は3355万円(税込み)にも達します。しかし、検証の目的はあくまでも円滑な事業の実施を行うもの。3千万円以上をかけて実施に向けて検討を行うよりも、事業実施の白紙撤回を行うべきです。
第三者機関によるコンストラクション・マネジメントを実施
練馬区は1月23日、「練馬区立美術館・貫井図書館再整備事業に係るコンストラクション・マネジメント(CM)業務委託」の公募型プロポーザルを公告しました。3月下旬には事業者が決定する予定です。
コンストラクション・マネジメントとは:発注者側に立って、設計や工事発注方式、工期、品質管理、コスト管理を行うもの(出典:練馬区)
しかし、今回の目的は仕様書の中で以下のように示されており、あくまでも事業の実施を前提としたものです。
(出典:別紙1 仕様書)
費用については概算で3355万円が計上されています。
(出典:募集要領)
朝日新聞は1月23日、今回の件について以下のように報道しています。
前川区長は「第三者の視点を入れながら、安い値段にしたい」とした。工期については「柔軟に合理的に、区民の負担が少ないように考えないといけない」とし、変更の可能性を示唆した。ただ、新美術館のデザインや設計について、区の担当者は「大きく変更はしない」としている。
今回の検証を通じて、工期がさらに遅れる恐れもあります。
目黒区美術館では建て替え計画が白紙に!
練馬区立美術館と同時期の整備を目指していた目黒区美術館では、解体・再整備計画が白紙になることが1月27日、明らかになりました。資材価格や人件費の高騰で、当初399億円だった事業費が1.24倍、488億円に上ぶれたことが原因とのことです。新たな整備方針は2027年度以降に決める考えで、目黒区美術館の建て替えは大幅に遅れることになります。
練馬区立美術館でも当初の76億円から1.5倍、109億円と、目黒区美術館よりも上昇率は高くなっています。区長が区民の負担を減らすことを考えるのであれば、練馬区も建て替え計画自体を白紙にしたうえで、検討を行うべきです。
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