練馬区の2025年度(令和7年度)予算案が公開されました。来年度の予算は過去最多の3,516億円に達する見込み。しかし、財源不足により貯金である基金を切り崩し、借金である区債を発行することに。しかし、なぜこのような予算になったのか、練馬区ではその途中経過である「予算編成の過程」が一切公開されていません。23区でも半数以上の自治体で公開している中で、あまりに不透明であり改善が必要です。

予算編成の流れ

練馬区では8月に「当初予算編成に関する基本方針等」が通知され、その内容に沿って各部が予算要求を策定します。10月に各部が財政課に予算要求を提出したのち、副区長や区長による査定を経て、1月に予算案の決定となります。下記は文京区のものですが、練馬区でもほぼ同じです。

(出典:文京区ウェブサイト)

2025年度予算の規模は

来年度の練馬区当初予算額は4年連続で過去最多となる3,516億円、他方で支出が収入を上回る財源不足が続くために、貯金である財政調整基金を69億円切り崩すほか、借金である債務を50億円ほど増やすことになります。こうした中で、練馬区は令和15年には基金が底をつくとしています。

(出典:練馬区のおさいふ

予算編成の情報公開、23区で最低水準

練馬区の財政が厳しい状況だからこそ、区民や議会による厳しいチェックが必要です。23区でも多くの自治体で近年、透明性を高めるために予算編成過程の公開が進んでいて、文京区板橋区などでは、各部の要望に対する査定の結果なども含めて公開されています。

板橋区の予算編成過程の公表について 板橋区

私が調べた中では、23区の中で半数以上の自治体では何らかの形で策定過程の公開が行われています。他方、練馬区では、8月に基本方針が公開された後は、1月の予算案まで一切途中経過が公開されることはなく、情報公開の点では23区でも最低水準だと思います。

練馬区は令和6年度の予算委員会で、他会派からの質問に以下のように回答しています。

 申し訳ございませんが、目先、目先の流行に乗るような形での予算編成過程の公表や意見募集を行う考えはございません。

しかし予算過程の公開は、目先の流行ではなく、透明性の確保のために不可欠なものです。区議会での審議のためにも、また区民に対する説明責任を果たすためにも公開すべきです。