参議院選挙を前に、外国人政策がかつてないほど大きな論点になっています。その中で、「外国人がごみ分別ルールを守らず、街がごみだらけになっている」といった主張が、ネットを中心に広がっています。しかし、果たしてそれは事実なのでしょうか? 練馬区の公式データを調査するとともに担当所管にヒアリングを行い、実態を検証しました。
◆ 外国人増加で地域が「ごみだらけ」?その主張を検証
ネット上では、外国人が増えるとごみの分別が守られず、地域環境が悪化するという声が一部で見られます。しかし、練馬区のデータはこの主張を裏付けていません。むしろ、ごみ分別の状況は改善しています。このような偏見は特定の人々を根拠なく非難し、人を傷つける恐れがあります。
◆ ごみの分別状況は年々改善、外国人増加と逆の傾向に
練馬区が2年ごとに実施している「資源・ごみ排出実態調査」によると、ごみの分別状況は以下のように改善しています(詳細は下記リンクをご覧ください):
▼可燃ごみの適正分別率
- 平成29年度:79.6%
- 令和5年度:81.8%(2.2ポイント改善)
(出典:令和5年度 練馬区資源・ごみ排出実態調査報告書)
▼不燃ごみの適正分別率
- 平成29年度:81.7%
- 令和5年度:83.4%(1.7ポイント改善)
(出典:令和5年度 練馬区資源・ごみ排出実態調査報告書)
▼容器包装プラスチックの適正分別率
- 平成29年度:69.5%
- 令和5年度:75.7%(6.2ポイント改善)
(出典:令和5年度 練馬区資源・ごみ排出実態調査報告書)
一方で、外国人住民は同期間に約26.7%も増加しています。つまり、外国人が大きく増えたにもかかわらず、ごみの分別は改善しており、「外国人によるルール違反が街を汚している」という言説には客観的な根拠がありません。
◆ 苦情は少数、多言語での丁寧な啓発も
練馬区に確認したところ、ごみに関する苦情全体の中で「外国人が関係している」とされるものは少なく、全体として大きな問題にはなっていないとのことです。
また区では、英語、中国語、韓国語、タガログ語、タイ語、ネパール語、ベトナム語の7カ国でパンフレットを作成し、すべての外国人に配布。今年度中にはミャンマー語版も作成予定とのことで、丁寧な啓発が行われています。
確かに、生活習慣や文化の違いから、日本特有の分別ルールに戸惑う外国人の方がいるのも事実です。だからこそ、「迷惑だから排除する」のではなく、情報をわかりやすく届け、理解を促す丁寧な関わりが行政にも地域にも求められています。
タイ語版パンフレット
(出典:練馬区ウェブサイト)
◆ 「印象」による差別ではなく、事実に基づいた共生を
熊本日日新聞でも同様の調査を行っており、「外国人が増えるとごみの分別ルールが守られず、街がゴミだらけになる」といった主張に根拠がないことを報じています。
私は政治家として、背景や国籍にかかわらず、すべての人が尊重され、地域で安心して暮らせる社会を目指しています。生活上の課題には丁寧に対応しつつも、それを理由に差別や排除が正当化されてはなりません。
今必要なのは、印象や噂に基づく排斥ではなく、実際のデータに基づいた冷静な議論。そして、共に生きる地域社会を築くための、人権と共生の視点です。