2025年、戦後80年という節目の年を迎えるにあたり、全国の自治体では平和への想いを次世代に継承する取り組みが進められています。東京23区でも、多くの自治体が新たな平和事業を展開し、そのための予算を拡充しています。
しかし、そうした中で練馬区は調べた限りでは23区で唯一、平和関連予算を減額していたのです。
他自治体は大幅な予算増
各区では、戦後80年を記念して、平和への取り組みをより一層強化しています。
- 新宿区:平和の啓発普及活動として「デジタル版戦争体験談集」の作成。予算は2千457万円
(出典:新宿区)
- 杉並区:戦後80年事業として広島市の協力で「ヒロシマ原爆・平和展」開催:予算1千127万円
(出典:杉並区)
- 文京区:終戦80周年記念事業として、被爆の実相を資料とデジタルで伝える:予算392万円
(出典:文京区)
- 墨田区:平和への想いを未来に繋ぐ事業:予算870万円
(出典:墨田区)
- 品川区:新規に「平和継承事業」を立ち上げ、被爆ピアノの演奏会などを企画
(出典:品川区)
- 目黒区:平和推進関連で649万円を計上
このように、多くの区が歴史の重みと未来への責任を自覚し、予算措置を講じています。
一方、練馬区では…
こうした流れに逆行するかのように、練馬区では平和推進経費が前年度より10万円(約4%)減額され、248万3千円になりました。また、予算上は新規事業なども予定されていません。
令和6年度当初予算:258万5千円
(出典:練馬区)
令和7年度当初予算:248万3千円
さらに、令和7年第一回練馬区議会定例会では、日本政府に対し「核兵器禁止条約 第3回締約国会議へのオブザーバー参加を求める意見書」の提出をめぐって審議されましたが、残念ながら不採択となっています。
(出典:練馬区)
なお、同趣旨の意見書は、すでに世田谷区や文京区で可決・提出されており、練馬区の対応が後ろ向きであることが浮き彫りになっています。
練馬区は「非核都市宣言」を掲げている
練馬区は1982年に「非核平和都市宣言」を採択し、核兵器廃絶と恒久平和の実現を目指す姿勢を公式に示してきました。しかし、今回の予算削減や意見書の不採択は、そうした理念と矛盾するものです。
今こそ、平和行政の見直しを
戦後80年という節目は、単なる記念ではありません。記憶の風化を防ぎ、戦争の悲惨さや平和の尊さを次世代へ伝える大切な機会です。
「非核都市」を掲げる練馬区だからこそ、今こそ改めて、平和行政に真摯に向き合うべきではないでしょうか。
大泉で戦争を考える
岩瀬たけし事務所では、毎年夏に平和企画を実施しており、今年が9回目となります。
今年は都内の私立高校教員の岩城慶明さん、ミャンマー難民の方をお迎えし、学校での歴史教育やいまだ世界で続く戦争についてお話を伺い、平和について考えると共に、私たちができることを皆さんと考えたいと思います。ぜひご参加ください。
これまでの訴えはこちらをご覧ください。