8月28日の文教児童青少年委員会では、豊渓中学校の統廃合の中止を求める3本の陳情の審査が行われ、いずれも採決の結果、否決されました。
陳情第99号は自民、公明、練馬会議が反対し、立憲民主、共産党、インクル(私たち)、生活者ネットが賛成。
陳情第104号と第105号は自民、公明、練馬会議、立憲民主が反対し、共産党、インクル、生活者ネットが賛成。結果、いずれも不採択となっています。
陳情の内容(要点)
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陳情第99号:保護者や地域との合意形成なしに豊渓中学校の統廃合を決定しないことを求めることについて
─── 保護者・地域の十分な理解と協力が得られるまで、統廃合を決めないよう求めるもの。 -
陳情第104号:教育学的根拠が不十分な学校統廃合対象校の区独自選定基準の見直しについて
─── 学級数に加えて校庭面積などの独自基準が恣意的で妥当性を欠くとして、基準の再検討を求めるもの。 -
陳情第105号:豊渓中学校を対象とした学校統廃合計画を見直し、地域の声の反映を求めることについて
─── 統廃合計画の見直しと、地域の声を反映する参画の場の確保を求めるもの。
陳情の正式名称と提出一覧は
練馬区議会「付託された請願・陳情(令和7年)」で確認できます。
https://www.city.nerima.tokyo.jp/gikai/seigan/hutaku/R7hutaku.html
私の発言(審査で述べたこと)
★陳情第99号・第104号について
文科省の手引き(2015年)や、改訂中の議論の中でも、学校の統廃合は行政が一方的に進めるのではなく、保護者・地域の「十分な理解と協力」を得て、住民参画のもとに決定することが必要と明記されています。練馬区は「説明会で丁寧に説明した」「パブリックコメントも実施した」としますが、説明会やパブコメは合意形成の場ではありません。
約1,900名の陳情に加え、町会長やコミュニティスクール(CS)、避難拠点リーダーが反対の意思を示していること、パブコメの9割以上が反対であった事実は、十分な理解や協力が得られていない強いシグナルです。区の姿勢に抗議したうえで、採択を求めました。
★陳情第105号について
選定基準に関し、練馬区は学級数に加えて校庭面積といった、全国に例を見ない恣意的な基準を設定。さらに、区は「適正規模・適正配置検討委員会」を設置し、諮問・審議・答申のプロセスを経たとしますが、委員構成は教育委員会事務局や有識者が中心で、学区域の地域代表や保護者が一切含まれていません。しかも、区教育委員会が諮問し、自ら審議し、また答申を受けるという自己完結的な仕組みです。これでは自己正当化に過ぎません。民主的正当性を欠くこの枠組みは、行政手続法第1条が掲げる「公正・透明な行政運営」の趣旨にも反します。区の姿勢に厳しく抗議し、採択を求めました。
背景資料(国の方針/区の計画)
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文部科学省:公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引(2015)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shugaku/detail/1354768.htm
── 「十分な理解と協力」「丁寧な議論」を明記。 -
文科省 協力者会議(2025/8/8)資料:これまでの議論の整理
https://www.mext.go.jp/content/20250807-mtx_syoto02-000043703_4.pdf
── 誰に・どう周知し、どう参画を得るかというプロセス設計を重視。 -
練馬区 教育委員会:区立学校適正配置第二次実施計画(素案)
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kosodatekyoiku/kyoiku/gakko/tekisei/keikakuhaiti/tekihai_keikaku2soan.html -
説明会資料(豊渓中・光が丘第一中)(PDF)
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kosodatekyoiku/kyoiku/gakko/tekisei/keikakuhaiti/tekihai_keikaku2soan.files/siryo_ho-kei2.pdf -
行政手続法(第42条:提出意見の十分な考慮/第43条:結果の公示)
https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000088
残念ながら、委員会では不採択となってしまいました。しかし、住民の理解と協力が得られていないまま統廃合を進めることは、国の方針にも反します。今後も、豊渓中学校の統廃合の中止を求め、参画のプロセスを整えた上での議論を強く訴えていきます。これまでの訴えはこちらをご覧ください。