9月の一般質問で不登校を理由に学校の定期健康診断(健診)を受けられない子どもの実態を取り上げ、各校での調査の実施と適切な対応を求めました。(一般質問での訴えはこちらをご覧ください)

そして9月30日の決算特別委員会で、教育委員会の調査結果が明らかになりました。
結果は深刻で、健診を受けていない子どものうち、約75%が不登校の子どもであることが判明しました。不登校であっても健康診断を受けられるような環境を作ることが不可欠です。当日の質疑の概要をご報告します。

【質問➊】健診未受診の子どものうち、不登校の子どもが占める比率は?

9月8日の一般質問を受け、教育委員会としてすぐに全校での実態調査を行ったとのこと、早急な対応を評価します。

そこで2024年度、練馬区で健康診断を未受診の子どもの数、およびその内の不登校の子どもの数について、それぞれ回答を求めます。

【練馬区区の回答】

令和6年度の健診未受診者は、

  • 小学校:327名

  • 中学校:544名
    合計871名

そのうち不登校の子どもは、

  • 小学校:178名

  • 中学校:460名
    合計638名です。

【岩瀬の訴え】

未受診者全体が871名でそのうち不登校が638名、つまり未受診者の75%は不登校の子どもということになります。これは驚くべき数字です。さらに、練馬区のでの不登校の子どもの合計が概ね1600人程度であることから計算すると、不登校の子どものほぼ4割が受診していないことになります。また、事前に確認した所、今年度も9月の段階で健診未受診のうち不登校の子どもが全体の70%を超えているとのことです。

【参考】国会でも取り上げられた「健診未受診」問題

2024年6月には、国会でも同様の課題が取り上げられています(衆議院質問主意書第181号)。

質問では、不登校児童・生徒が学校の健診を受けられない現状を踏まえ、学校外での健診の実施や、未受診の子どもの把握と支援の仕組みを整える必要性が指摘されました。政府はこれに対し、

“健康診断を受けることができなかった児童生徒等に対しても、その状況に応じて、各学校において適切に対応すべきものと考えている”

と答弁しています。

【質問➋】今回の調査結果について練馬区の受け止めは?

今回、全校での調査を実施したことで、健診未受診の子どもの7割以上は不登校であることが判明しました。調査結果を練馬区はどのように受け止め、今後どのような対応を取る予定ですか?

【練馬区の回答】

特に不登校の児童・生徒の受診率が低く、現在は受診率の向上に向けた取組を進めています。学校での検診を受けることが困難な子どもには近隣の医療機関において4月から6月までの3か月間は無料で健診をしています。また各学校では近隣の学校医の受診を勧める案内を送付したうえで養護教諭と担任が連携して、保護者に受診の重要性を伝え促す働きかけをしています。しかし、外出すること自体が困難な場合も多く、働きかけをすることが心理的負担を与える場合もあります。学校では家庭の状況に寄り添いながら、丁寧かつ地道な対応を続けています。引き続き、保護者への啓発等を含めて対応していきます。

【今後に向けて】

練馬区が指摘する各校での粘り強い対応も大切だと思います。
そのうえで、不登校の子ども達が健診を受けやすい環境を作る必要もあります。そのためには、7月以降は自費となる健診の受診料を無料とすることが必要です。さらに、不登校の子どもたちの中には、学校そのものに近づくことができない子も存在します。区として適応指導教室など学校以外での実施も検討すべきです。また、複数年にわたって受診できていない家庭には、福祉的な観点も含めて支援に繋げるべきです。

健診を受けられず、治せたはずの病気を見逃してしまうことがあってはなりません。一刻も早い対応を今後も訴えていきます。ご意見やご質問などあればぜひお寄せください。

【参考資料】

Yahoo!ニュース|不登校の子どもに学校外健診 横浜市教委が試行 未受診による対処遅れ防ぐ
岩瀬たけし公式サイト|一般質問報告:不登校と学校健診
読売新聞|不登校の子、健診受けず病気見逃す恐れ
NHKニュース|健康診断を受けられない 不登校児に健康リスク
衆議院質問主意書第181号|不登校児童生徒の健康診断の実施に関する質問主意書