連日、外国籍の方へのヘイトスピーチが問題になっています。その矛先は子どもたちにも向けられ、最近では「学校に通う際には在留資格を確認せよ」といった主張も一部で見られます。

しかし、日本も批准する「子どもの権利条約」は国籍を問わず教育を受ける権利を明記しています(第28条)。また文部科学省も在留資格がなくても、住所を証明できる書類があれば義務教育を受けさせるよう自治体に通知しています。

2025年1月には、さいたま市に住む11歳のクルド人の女の子が在留資格を失ったのを機に、通っていた市立小学校を除籍されていたことが判明、市教委は対応の誤りを謝罪し、女児が速やかに復学できるよう手続きを行いました。(記事はこちらをご覧ください)

練馬区議会での区の発言 「在留資格の確認を行っている」

9月の練馬区議会の令和6年度決算特別委員会の中で、練馬区は

「外国籍の子どもの就学手続きの際に、基本的には在留資格の確認を行っている

という旨の発言を行いました。

しかしこうした対応は、在留資格のない家庭を委縮させ、子どもの教育の機会を奪う恐れもあります。そこで、文科省の通知に従い、在留資格の有無を就学の前提にしない運用への改善とともに、ウェブサイトでの周知を強く求めました。

練馬区の対応 「就学にあたり在留資格は問わない」とウェブサイトへ明記!

指摘を受けて、練馬区は公式ウェブサイトに新たに「就学にあたり在留資格は特に問いません。」と明記しました。

(出典:練馬区ウェブサイト

今回の練馬区の対応は、川崎市など先進的に「在留資格がなくても入学できる」旨を明言している自治体と歩調を合わせるものです。区として、子どもに対する差別を否定する姿勢を明確化したことは高く評価できます。

今後に向けて 不就学の子ども達への教育の保障を!

練馬区でも不就学の可能性がある外国籍の子が50人以上に達している現実があります。国全体でも不就学の可能性がある子どもは数千人規模とされ、練馬区の積極的な対応が不可欠です。今回の変更が、就学をためらっていたご家庭へ確実に届くよう、これからも改善を求めていきます。ご意見などぜひお寄せください。これまでの訴えはこちらをご覧ください。

(参考)

  • 外国籍のお子さまの入学手続き|練馬区(「就学にあたり在留資格は特に問いません。」と明記) 練馬区公式ホームページ

  • 外国人児童・生徒の新入学手続について|川崎市教育委員会(「在留資格がなくても入学することができます。」と明記) 川崎市公式サイト

  • 外国人の子の就学に関する手続(Q&A)|文部科学省(無償受入・就学機会の確保) 文部科学省
  • 在留資格の有無にかかわらず外国籍の子どもの就学機会の確保を求める会長声明 神奈川県弁護士会