12月4日および12月8日の文教児童青少年委員会で、議案第168号「練馬区立平和台図書館」の指定管理者指定について」の審査と審議が行われました。今回、指定管理者は現受託者であるシダックス(シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社)を指定する内容で、指定期間は令和8年4月1日から令和13年3月31日までの5年間です。本件に対して「反対」しました。

今回の審議を通じて強く感じたのは、「どのような基準で、なぜその点数になったのか」が外から検証できない形で決まっており、選定の公平性に疑義が残るということです。

僅差4点、その勝敗を分けたのは「地域への貢献」満点30点

平和台図書館の指定管理者はプロポーザル方式によって公募されました。結果はシダックスが158点、次点のB社が154点で、その差はわずか4点でした。項目別に見ると、施設運営実績ではB社がシダックスを上回る一方、「地域への貢献」でシダックスが満点(30点)となり、ここでB社を6点上回ったことが最終結果を左右しています。

ところが、この「地域への貢献」で満点が出たのは図書館については過去には「存在せず」。さらに、図書館に限らず全ての指定管理を確認しても、見つけられたのは平成30年の一件のみでした。それほど稀なケースということになります。

当日の資料はこちらをご覧ください。

06【資料4-1】議案第168号 指定管理者の指定について(練馬区立平和台図書館)

「満点」の根拠は本当に説明できるのか

区は満点の理由について「地域への貢献」を構成する「区民雇用の促進」「再委託における区内事業者からの調達」「地域、関係機関、ボランティア等との連携」の各評価項目が優れている趣旨を説明しました。

 

シダックスへの区の評価(令和7年)

しかし、本年6月に報告された最終評価を見ても同図書館の区民雇用率は過去5年間の平均は57.2%で、今回モニタリングの対象となった図書館10館のうち5位、満点を取るような数値ではありません。また、再委託業務の75%を区内事業者とするという提案も決して高い数値ではありません。

平和台図書館 最終総合評価に伴うモニタリングチェックシート (令和7年度)

出典はこちらをご覧ください。

11【資料9】指定管理者制度適用施設のモニタリングについて

過去には区民雇用率8割を達成した図書館でも地域への貢献は「24点」となっていました。 また、今定例会に提出された議案においても区民雇用100%を達成した関リサイクルセンターにおいても、満点ではなく「24点」でした。

さらに、前回(令和2年)に平和台図書館でシダックスが選ばれた際にも、同様の提案がされており、その際は24点でした。同種の提案が並ぶにもかかわらず、今回は突然“満点”になったわけで、その理由が明確に説明されない限り、「点数を調整したのではないか」という疑念を招きかねません。

令和2年のシダックスへの評価(令和2年)

仕組みそのものが“検証不能”な状況

委員会では、別の委員からも「評価項目の中の小項目ごとに配点があるのか」「どこが弱くても他が強ければ満点になり得るのか」といった、“採点の透明性”に関する質問が出されました。 区は、各項目の小項目について「何が1点、何が10点」という採点ルールを置いていないとの回答でした。

また、選定小委員会では外部委員も入る一方で、点数は個別採点の積み上げではなく合議で決めるため、「こうなら満点」という要件を示すのが難しい、という趣旨の説明もありました。

しかし、僅差で勝敗が決まる案件ほど、「なぜその点数になったのか」を後から検証できなければ、制度への信頼は保てません。指定管理は、区民の財産である公共施設の運営を民間に委ねる制度です。

今後に向けて

今回の件は、平和台図書館だけの問題ではありません。区全体の指定管理の採点が「説明しづらい仕組み」のまま運用されている以上、同様の疑義は繰り返されます。

だからこそ「地域への貢献」など定性的項目について、満点要件を明文化すべきです。例えば、区民雇用率の基準、障害者就労連携の具体、地域連携の年間計画や実績の提出など、満点に至る条件を整理し、誰が見ても理解できる状態にする必要があります。

そもそも官製ワーキングプアを生み出しかねない構造になっている図書館の指定管理について、その是非についても議論されるべきだと思います。ぜひご意見などお寄せください。

過去の訴えはこちらをご覧ください。