12月1日の令和7年練馬区議会第四回定例会の一般質問において、練馬区は13年振りに改訂を予定していた外国人施策の基本方針について、国の方針転換を受けて、年度内の策定を来年度以降に延期することを明らかにしました。練馬区の多文化共生政策を大きく後退させることに繋がりかねず、非常に残念です。

1.13年前に作られた現在の「練馬区国際交流・多文化共生基本方針」

練馬区の「国際交流・多文化共生基本方針」は2012年(平成24年)に策定されたもので、すでに13年が経過しています。当時、区内の外国人登録者は約1.3万人でしたが、現在では3万人近くに増加し、人口の約4%を占めます。当時から制度・社会状況ともに大きく変化しています。こうした中で私は2019年から方針の改訂を訴えてきました。現在は外国人住民の増加だけでなく、地域における排外的な風潮、差別的言動への対応が新たな課題として浮上しています。

2.“見極め”という名の先送りより人権の尊重を!

練馬区は今年度、「外国人に開かれた地域づくり」を実現するために今後の外国人施策の新たな方針の策定を行うと2025年度の予算資料でも発表していました。

(出典:練馬区当初予算案記者発表資料

しかし、今回の議会答弁で区は、「国の方針を見極める必要がある」として方針策定を来年度以降に延期する考えを示しました。その背景には、高市政権が「外国人との秩序ある共生社会」や「外国人の違法行為への厳格対応」を強調している国の方針転換があるとのこと。

しかし、国の動向を理由に自治体が独自の共生方針策定を止めてしまうことは、あまりに問題だと思います。外国人住民も区民であり、その生活や人権は国の制度改定とは関係なく保障されるべきです。

特に近年は外国人住民へのご情報や差別的、排外的な言動が高まっている中で、区が方針を示さないことは、結果的に差別やヘイトの言説を黙認する形になりかねません。

まさに今必要なのは、「国の方針を待つこと」ではなく、「人権と共生の原則を区として先に打ち出すこと」です。

3.いま必要なのは策定延期ではなく“反ヘイト”のメッセージ

差別やヘイトが地域でも強まる社会状況の中でこそ、自治体が毅然とした態度を示すことが大切だと思います。

練馬区が、誰もが尊重される社会を築くために、今こそヘイトや排斥を許さないと明確に示すことが必要であり、区議会でも早期策定を強く求めていきます。ご意見などぜひお寄せください。

■ 参考資料