高市総理が打ち出した総額21.3兆円の総合経済政策。コロナ禍の20~22年度を除けば、補正予算として過去最大の規模となります。政府は交付金を活用した支援について、年内の予算化を検討するよう各自治体に求めました。
これを受け、練馬区では約60億円の補正予算案をとりまとめました。練馬区では「おこめ券」は配布せず、かわりに住民税非課税世帯などに2万円、PayPayを使った20%のキャッシュレスポイント還元事業、住まいの防犯対策費助成金(上限3万円)などを行う予定です。そのほか、国の政策として、子ども一人当たり2万円の子育て応援手当が支給されます。補正予算は12月26日の臨時議会で審議の上、採決される予定です。
練馬区は「おこめ券」より現金給付、対象は?
政府が推奨しているメニューの一つが大きな議論になっている「おこめ券」の配布です。しかし練馬区では券の発行・封入・郵送など事務コストが大きいこと、現金給付の方が比較的迅速に執行しやすいことなどを理由に配布しないことを決定しました。私はこの点は合理的な判断だと受け止めています。報道でも「23区で“おこめ券”を採用するのは墨田区のみ」とされ、自治体によって対応が異なります。では練馬区は何を行うのか。ポイントは以下の通りです。
■記者発表資料はこちらをご覧ください。20251224_記者発表資料
1. 低所得世帯への給付金(約20.2億円)
住民税非課税世帯、児童扶養手当受給世帯、家計急変世帯を対象に1世帯あたり2万円を支給します。支給は2026年2月ごろからの予定です。
2. キャッシュレス決済ポイント還元事業(約10.3億円)
12月にもPayPayを使って対象店舗で購入すると10%分が返ってくるキャンペーンを行っていますが、練馬区は新たに来年度、20%分が返ってくるキャンペーンを実施するとのこと。今回は2か月間で最大で10000円分が返ってくることになります。決済手段や対象店舗は今後検討されるとのことです。
3. 住まいの防犯対策費補助(約1.6億円)
令和7年度に続いて、防犯カメラの購入などに補助を行います。補助率は75%で、最大で3万円まで助成の対象となります。
4. 物価対応子育て応援手当(約22.5億円)
国の制度として、子ども一人当たり2万円が支給されます(所得制限なし)。2026年2月からの支給を予定しています。
5. 施設等運営支援臨時給付金(約4.9億円)
東京都の制度で介護・障害・保育施設・幼稚園等を対象としています。(令和7年10月分から令和8年6月分までが対象です。)

他の区の対応は?
物価高騰対策、23区でも対応は全く異なっています。例えば
- 世田谷区:キャッシュレス還元を最大15%とする代わりに、区独自の支援として子ども一人1万円を上乗せして合計で3万円を支給することを決定。
- 北区:所得に関わらず全区民に一律で5千円、さらに住民税非課税世帯には5千円を上乗せ。
- 江東区:18歳以上の区民1人に5000円相当のマイナポイントもしくは区内共通商品券、加えて商品券施策や事業者支援も組み合わせ。
同じ物価高対策でも自治体の考え方や優先順位などがはっきり出ています。
子どもや現役低所得世帯などへ支援拡大を!
12月に国会で決定して、年末には各自治体が予算化を求められた中で、検討時間があまりに短かったのは事実です。ただ、区の支援には課題もあります。
住民税非課税世帯等への給付は重要ですが、子育て世帯、単身の現役低所得世帯、ひとり親、フリーランスなど物価高の影響を強く受けるのは多岐にわたります。また、PayPayによるキャッシュレス還元事業は使える方が限定されてしまうなどの問題もあります。(詳細はこちらをご覧ください。)
他区のように決済手段を複数にひろげること、あるいは子ども・現役低所得世帯などへの更なる支援も必要だと思います。
皆さんからのご意見もお寄せ頂けたら幸いです。