本日、文教児童青少年委員会が行われました。この委員会、扱う分野は子育てから教育まで多岐に及んでいて、毎回非常に多くの報告がなされています。今回も合計で12件の報告事項がありました。

主なものは以下の通りです。

1. 学校用務業務委託候補事業者の選定について(学校用務の委託)
2. 大泉第二中学校の教育環境保全と都市計画道路の整備に関する有識者委員会の設置について(大泉第二中の校庭を分断する道路計画)
3. 学校支援事業の充実について(生活保護世帯、準保護世帯の中学3年生に対する学習支援)

今回は第一の「学校用務業務委託候補事業者の選定」についてご報告します。
これは、小中学校に配置する用務員の業務をアウトソーシング、外部委託しようとするものです。練馬区には合計で99の学校がありますが、すでに50の学校で委託が行われており、4月から更に6校で開始しようとしています。

学校用務の委託、第一にはコストの削減を目的としています。
「平成27年度練馬区人事行政の運営等の状況」によると、年収ベースでは用務員が公務員の場合、給与は民間の2.26倍という結果になっています。
数字だけを見ると、委託にしてよかったという話になりますが、実態を見ると、用務員に求められる業務は変わっていない一方で、給与のみが下げられている、つまり働く方が犠牲になってコストの削減がなされている状況です。

もう一つ、大きな問題として、契約に関わるものがあります。民間との契約では、行政と民間企業が仕様書を作成し、請負委託契約を結ぶことになっています。その際、本来は労働者、つまり用務員の方は会社からしか指導、命令を受けてはいけないのですが、業務が学校の中で多岐にわたるなかで、実態としては、派遣された学校から指示を受けて働く、いわゆる偽装請負が全国の自治体で問題となっています。
こうした観点を踏まえ、以下のような質問を行いました。(すべて概要です。正確には今後公表される議事録をご確認ください)

「<質問 岩瀬>
業務委託によって仕事は同じであるにもかかわらず、働く方の労働条件が大きく悪化することが懸念される。そこで、まず確認したい。現在、業務委託をされた民間企業で働く方のうち、正規職員と非正規(パート)等の比率は?
<回答>
各学校で正規職員一名と非正規職員一名の二名体制で行っている。

<質問 岩瀬>
以前、学校公開で訪問した学校において、用務員の方が教員から日常的に指示を受けているのでは、という印象を受けた。そのようなことが発生しているのか?
<回答>
いわゆる「偽装請負」が起こらないよう、学校側には十分に指導している。基本的には学校から用務員に指示を行うことはない。ただし、電球を変えるなどの突発的な業務についてはこの限りではない。

<質問 岩瀬>
内閣府が作成した「地方公共団体の適正な請負(委託)事業推進のための手引き」(平成26年改訂)には、学校用務員の業務については、業務責任者を配置し、彼等が毎週学校を訪問し、学校と打ち合わせを実施する。そして打ち合わせを通じて、調整を行う」とされている。練馬区ではこのような取り組みを行っているのか?
<回答>
業務責任者を配置し、定期的に学校と打ち合わせを実施する中で調整を行っている。

<意見 岩瀬>
そもそも学校用務員に求める業務は非常に多岐にわたり、それは現場である学校との協議や指示を受けることを前提としている。コストを削減するために、外部に委託し、その結果として、名目上は学校からの指示を受けることもできない、というのは制度としても矛盾している。だからこそ、用務員制度の委託の是非そのものについて検討してほしい。」

私自身の考えは、コストの削減は大切ですが、それよりも大切なのは、行政が果たすべきサービスの質を維持することであり、同時に、そこで働く方々の労働条件をしっかりと守ることだと思います。だからこそ、今回の用務員の問題にしても、現場で働く方に犠牲を押し付けて、コスト削減を行うというあり方そのものを問い直すべきだと思います。