関東大震災から100年、朝鮮人虐殺について政府内で記録がないと発言、東京都知事も「様々な見方がある」と虐殺の犠牲者への追悼文を拒否、しかし事実を消すことはできません。そんな中で、練馬区でも植民地支配を否定するかのような発言が練馬区からなされました。
7月18日開催の企画総務委員会において、永住権を持つ外国人に、地方選挙権を与えることを国に求める陳情がありました。その場で、練馬区が特別永住者について「日本がかつて朝鮮半島や台湾を植民地として支配していた時期に日本に渡り、そのまま日本で生活基盤を築いた方々及びその子孫が永住することを認められている制度」と説明した所、自民党の議員から植民地支配はしていないとの抗議と訂正を求める発言がありました。
それを受け、練馬区は謝罪したうえで植民地支配の表現を取り消し「第二次世界大戦中に、朝鮮半島あるいは台湾で、片方から日本に渡って生活基盤を築いた人々の子孫の方たちを含めた方々が認められている制度」と表現を訂正しました。
当日の議事録は下記リンクをご覧ください。
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/nerima/SpMinuteView.html?tenant_id=367&council_id=5048&schedule_id=1
一番の問題は、区が説明を翻し植民地支配の表現を削除した点にあります。
8月29日の委員会で改めて議論が行われましたが、その中で、練馬区は「区としては歴史認識について答える立場にはない。当初の植民地支配に関する説明が歴史認識に関連すると受け止められる表現だったので訂正した」として再度の修正を拒否。しかし、植民地支配は歴史「認識」の問題ではなく、「事実」です。
2020年には菅総理(当時)の談話においても、「ちょうど百年前の八月、日韓併合条約が締結され、以後三十六年に及ぶ植民地支配が始まりました」と明言しています。練馬区は政府の公式な見解に反して、植民地支配を歴史の「認識」の問題にすり替え、発言自体をなかったことにしてしまうことはあまりに大きな問題です。区として過去の歴史に厳粛に向き合うよう今後も求めます。