2024年12月に実施した一般質問では、稲荷山公園整備計画についても訴えました。
同計画は、現在の清水山の森から稲荷山憩いの森にかけて総合公園を作るものであり、400戸を超える立ち退きと200億円以上の費用が必要になります。8月の専門家委員会では、公園整備のイメージとして住宅地の一部を水田にすることが示されました。また、当該地域には戦時中に作られた巨大な特殊地下壕が存在していることが判明、安全性などについて調査が続けられています。一般質問の動画放映はこちらからご覧ください。

1) 特殊地下壕について

国は、戦時中に築造された特殊地下壕について、陥没による死亡事故も生じている中で、国民の生命財産を守るために対策実施要領を定め、自治体に適切な対応を求めています。そうした中、国土交通省が公表した「令和4年度特殊地下壕実態調査結果」において、2023年4月時点で、東京都からは219カ所の特殊地下壕が報告されていますが、稲荷山の地下施設は掲載されていません。同地域に地下壕が存在することは長年知られ、区も2022年度に調査を行っていたにも関わらず、なぜ現在に至るまで国へ報告していないのでしょうか、区の回答を求めます。

【練馬区の回答】

区には概ね5年ごとに特殊地下壕の調査を実施しており、現在公表されている資料は令和4年5月、練馬区に調査があったものです。本施設については令和5年2月から区が調査を行い、結果は既に国に報告しています。今後行う調査の結果についても、適宜、国に報告していきます。

2)特殊地下壕の実態把握について

第2次調査の報告書では「地下施設の主要な部分の位置は把握できた」としています。しかし、1979年頃までに地下施設に入ったことのある住民の話では、内部は今回の調査で示された空洞よりもはるかに広く、大きな会議室ほどの部屋や、西側は稲荷山図書館の近くを通り清水山の森へ、東側は土支田八幡の手前まで続く通路も存在したとのことです。

また、調査では空洞のコンクリート壁にひび割れや漏水も発見されています。「構造物としては安定している」としていますが、鉄筋コンクリートの耐用年数47年、平均寿命68年と言われているところ、優に80年は経過し、放置状態も劣悪です。地下壕の上には、何トンもの重量がある大木がそびえている個所もある中で、崩落の恐れもあります。

この土地は東京都の所有地です。都とともに地下壕について更なる調査を行うとともに、国の補助金などを活用し、災害を未然に防止する安全対策を実施すべきです。区の回答を求めます。

 

【練馬区の回答】

これまでの調査で一部にコンクリートのはがれやひび割れがみられるものの、コンクリート構造物としては安定しているとの報告を受けています。今年度、これまでの調査で把握している場所の周辺に範囲を広げ、既に調査を開始しています。これらの調査結果を踏まえ、公園整備の検討とあわせて対応していきます。

4)整備後の植生について

続いて稲荷山公園整備後の植生イメージについて質問します。8月に開催された専門家委員会では、宅地が広がっている白子川右岸の東側について、水田が整備される案が示されました。

区は、都市計画法に基づき総合公園を設置する計画を進めておりますが、都市計画法の目的は「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の“均衡ある発展”と“公共の福祉の増進”に寄与する」とあります。その中で、なぜ閑静な住宅街を破壊してまで水田にする意味があるのでしょうか?

また、整備計画では「本公園の整備には、地権者をはじめとした地域の皆様のご理解とご協力が必要不可欠」としています。しかし、住居を水田に転用する案などは、当該地域の住民にも全く伝えられていません。まずは、専門家委員会で議論されている案について、住民に説明し意見交換を行うべきです。区の回答を求めます。

【練馬区の回答】

稲荷山公園では「広大な武蔵野台地に田畑が広がり、川が流れ、雑木林や屋敷林が点在し、豊かな自然であふれていたかつての練馬の風景」の保全や再現に向けて整備の検討を進めています。専門家委員会は、議論の透明性を確保するため、原則、公開で議論しています。今まさに議論を行っているところです。引き続き丁寧に検討を進めます。地権者をはじめとした地域の皆さまの理解と協力が不可欠です。事業の進捗の節目ごとに地域の皆様への周知を丁寧に行い、ご意見を伺いながら進めていきます。

【岩瀬の意見】

練馬区は節目ごとに周知を丁寧に行うとしていますが時期は未定で、あくまで周知でしかありません。専門家委員会での内容を随時、住民に伝えるべきですし、「地域の皆さまの理解と協力が不可欠」と言うのであれば、住民からの意見を聞く場を丁寧に設けるべきです。そもそも400件以上の家を立ち退かせて、200億円以上もかけて総合公園を作るのであれば、今現在残っている緑地を残すためにこそ力を注区べきです。計画の見直しを今後も訴えていきます。過去の訴えはこちらをご覧ください。