本日の決算質問、練馬区の不登校児への支援を取り上げた。

練馬区における児童の数は年々減少している一方、不登校児の数は、過去5年間で20%以上も増えている。また、練馬区における過去10年の児童の自殺数を見ても、全5件の内、4件が4月と9月に起こっており、学校が子ども達にとって負担になっていることが理由であると推察される。自殺と報告されていない数も含めると実態はもっと多いと思われる。

そうした中、「平成26年度 練馬区立小中学校におけるいじめ・不登校の状況について」によると、不登校となった直接のきっかけとして最も多いのが「不安など情緒的混乱」と「無気力」であり、併せて全体の60%、どちらも調査では「本人の問題」と区分されている。

他方で「いじめ」を直接のきっかけとして答えたのはたったの二人(0.3%)だった。

しかし、「情緒的混乱」と「無気力」、どちらもいじめや家庭の事情など別の原因による結果でしかなく、決して「本人の問題」ではない。現象だけをとらえることなく、根本的な原因を分析し対策を取る必要がある。

もちろん、不登校の子ども達が学校に行きたいと思えるように、いじめの防止等、学校での環境を改善する取組を続けることは必要だ。しかし、何十年も前からの取組と裏腹に、問題は依然として無くならないのが実情である。

そんな中、現在は、不登校対策として中心的な役割をはたしている事業に、適応指導教室等があるが、ウェブサイトを見ると「学校への復帰」を主たる目的としている。

不登校になった子どもは、学校に戻るということに大きな不安を感じ、パニック障害などを起こす子どももいる。だからこそ復帰のみを目的とせず、子ども達が安心して過ごせる、そんな居場所が必要だといえる。

実際、適応指導教室に入室した児童は不登校児全体の3割、定期的に通っている児童は14%にとどまっている。

適応指導教室への出席率が低い中、かなりの児童が家庭での学習やいわゆるフリースクール等によって救われている。また、どこにも行き場所がない児童も多く存在しているのも実情である。

私も家族が不登校だったが、フリースクールに行ったことで自分のペースで得意分野を伸ばすことができ、その結果大学院へ行き、世界を舞台に活躍している。一方で練馬区は区内にいくつフリースクールがあるか、それすらも知らない状況である。

そこで私が行った提案。家庭での学習やフリースクールが現実として不登校の児童にとって一つの居場所として機能しているのは間違いない事実である一方、フリースクールの存在を知らない方も多く存在している。だからこそ、まずは不登校児童や親に対する区や学校の相談業務において、居場所の一つとしてフリースクールがあるという事実を紹介すべき、ということ、そして、区内で少なくとも26名がフリースクールに通っており、区内や周辺のフリースクールについて実情や内容、課題などを把握するとともに情報交換などの連携をすべき、と主張した。

それに対して、区の回答は、現在、練馬区は不登校児にむけて様々な支援を行っており、まずは行政の力で対応するということ、そして、フリースクールは定義もはっきりせず、現時点で行政が紹介するのは難しいということだった。他方で、既に通っている生徒については、
親の意向も考慮しつつ、必要に応じて情報の収集を行うということ。また、現在通称「多様な学び支援法案」の審議が進められている中で、今後の動きを見ながら対応を行うとのことだった。

フリースクールの定義が無いという懸念はよく聞かれるし、確かにフリースクールを名乗って悪質な教育内容を提供する団体もあるので、注意は必要だ。しかし、本当に素晴らしい活動を何十年も続けている団体も多数あり、実際にそこで救われている子ども達が大勢いるのはまぎれもない事実なのだ。実際こういった懸念に対応するために、行政としての調査もなされている。どのフリースクールを紹介するかは、個別のフリースクールの中身を検討して判断すればよいことで、本当に不登校の子ども達を救いたいと思うのなら、独自の調査も厭わないくらいの姿勢が必要だろう。また、もし個別のフリースクールの紹介が難しいとしても、フリースクールというものが存在するという事実を教えるのと教えないのとはずいぶん違う。

少なくとも今回の意義は、区が行っている不登校対策の問題点を指摘するとともに、不登校の子ども達の居場所として実際に機能しているフリースクールについて、しっかりと区の認識と連携を求めたこと自体にあるといえるだろう。実際に、回答では、今後の法案の成立を判断しながら検討すると言っているので、今回の質疑を初めとして、これからも不登校の子どもの支援についてしっかりと向き合っていきたい。