先日行われた一般質問。性的マイノリティと外国人の人権問題と共に取り上げたのが、男性の子育ての促進とジェンダー意識改善に向けた区の取組みだった。

男性の主体的な子育ては、男女共同参画社会およびワークライフバランスの実現に向けた重要な一歩。

私自身、1歳の息子を育てる中で、ジェンダー意識について考えさせられることが沢山あった。例えば、「仕事と子育ての両立をどうするの?」と聞かれるのは常に、私ではなく妻であること。風邪を引いた息子を、早退して病院に連れていくだけで、「イクメンね」と褒められる一方で、妻に対してはイクウーマンという褒め言葉は無いこと。政府が唱える「女性が職場で輝く」社会の実現には、「男性が家庭や地域で輝く」ことを、後押しせねばならない。

男性も女性もジェンダー意識から解放され、対等な関係に基づき、責任を共有した子育てができるべき。そのために、行政が、差別的な習慣や制度を見直し、平等意識の啓発をするとともに、家庭や地域生活に使える時間を増やす後押しをする必要がある。

こうした状況を踏まえ主として、以下のような提案を行った。

<問題点1 区の目標について>
練馬区での「家庭・地域での男女平等意識の推進」を図るための指標は「パパとママの準備教室の受講者数」となっている。これだけでその結果を把握することはできない。

<提案、質問>
練馬区でも現在の指標の見直しを行うとともに、国の計画での目標値「男性職員の育児休暇取得率」や「6歳以下の子どもを持つ男性の家事・育児の平均時間」を指標の一つとして採用すべき。

<答弁>
今後の計画は、現在策定中である。提案内容も含め検討する。

<問題点2  ジェンダー意識の解消について>
練馬区が実施している行政サービスにおける、ジェンダー意識に基づく名称、内容について、例えばジェンダーを想起させる代表的なものとして、『おかあさんのための救急&予防サイト』の紹介や『母と子の保健バッグ』等がある。母親学級も、小さく「家族も参加可」と記されているだけで、父親にとっては、参加しづらい。

象徴的なのが「母子健康手帳」である。母子手帳は、妊娠中に限らず、産後の子育ての記録であり、父親も記録と管理に積極的に関わるべきもの。現在の父子手帳の内容も問題がある。手帳では、男性が女性のニーズをきちんと理解した上で、(片手間ではなく)「主体的に」家事や育児を行う必要性等もきちんと説明すべき。

母子手帳については、既に全国の170を超える自治体で父子手帳と一体化するとともに、「親子健康手帳」と変更しており、東京23区でも墨田区が採用している。

<提案、質問>
練馬区が実施しているサービスについて、固定的性別役割分担意識に基づいたものはその名称や説明、内容を改めるべき。特に母子手帳は父親手帳と一体化するとともに親子手帳と変更し、内容も改善すべき。

<答弁>
母子手帳の名称は、国の方針に従って決定している。練馬区として変更する予定はない。
名称については今後、検討する。

<問題点3. 父親の育児参画を促すための施策>
父親向けの施策の代表的なものとして、「パパとママの準備教室」があるが、土曜のみの開催。内容も沐浴やおむつ替えという「作業」自体を中心に学び、妊婦体験をし、「子ども」といかに関るかという短い話を聞いて終わりである。
しかし、出産前に必ずすべきことは、妊産婦の負担を十分に理解した上で、どうしたら女性ばかりに負担がかからず、対等な関係に基づき子育てや家事ができるか、またはお互いの仕事と両立できるかを、夫婦でしっかりと話し合うことであり、これこそが両親教室で扱うべきテーマである。内容の再構成だけでなく連続講座の増設も必要である。

<提案、質問>
現在のパパ・ママ教室について、内容の改善、開催日の拡大、連続講座の開設を行うべきである。

<答弁>
教室の曜日は申請者のすべてが受講できており、開催日の拡大の予定はない。
内容、連続講座については今後検討する。

今回の一番の成果。それは、これまでほとんど優先的に扱われなかった男性の子育てについて、正面から議会の場で区に訴えたこと。また、ジェンダー役割分業の問題に対して、男性議員が指摘することも、これまで女性からの訴えが中心だった練馬区議会においては進展だったと何人かの方からコメントを頂いた。

しかし、区の回答は満足できるものではなかった。特に母子手帳の名称や内容の改善などについては、他区では既に取り組みが進んでいるにも関わらず、全く改善の意思を示さないことは、非常に残念だ。

そんな中、区の取組だけを待っていても仕方がない。だからこそ、11月26日(土)には「産後が始まった!」の著者で父親の子育てについて精力的に講義を行っている渡辺大地さんを練馬にお呼びして、自主講座を開催する。こうした一つ一つの積み重ねを通じて少しでも区政を変えられるよう、引き続き頑張りたい。