今回の議会、文教児童青少年委員会では、平和台図書館について指定管理業者の選定が議論となりました。6月の議会で指定管理業者を導入すること自体は決定したのですが、それを受けて、今回の議会で指定管理業者を決定する、という流れです。

まず、私の考えは、図書館の目的は、国民が文化的な生活を送るためのインフラを提供することであり、指定管理業者による運営には馴染まない、ということです。

一般的に、指定管理業者に運営を任せることによるメリットとして、業務の効率化とコストの削減があげられています。

業務の効率化について、そのモデルとも言われている佐賀県の武雄市にある通称ツタヤ図書館を視察しましたが、そこで見られたのは、図書館が本来果たすべき役割よりも、目に見える成果である来場者数を増やすことに重点が置かれている、そんな姿でした。

コストの削減についても、大半は従業員の賃金を抑えることによって実現されています。指定管理業者が運営する図書館は、働く職員の方についても非正規の契約が多く、給料も抑えられています。2013年には足立区の図書館では職員の方が実質、時給180円で働かされていたという事件も起きています。(AERA「代替時給180円 図書館で行われた低賃金労働」

そんな中、今回は平和台図書館の指定管理業者の決定が行われました。応募団体5社の中から1社が選ばれたのですが、今回、受注した企業の能力にも疑問を感じています。

同社はこれまで、当該の図書館で窓口業務を担当してきたのですが、一方で、同社が単独で指定管理業者として図書館の運営を行った実績はほとんどありません。指定管理業者になると、施設の維持管理も行うのですが、これまでは共同事業体として維持管理は他社に任せる、という形をとってきました。唯一の例外が区民センター内の図書室、しかし、これは文字通り一つの部屋であり、図書館とは大きく異なります。

こうした状況を受け、私たちの会派では今回の議案に反対しました。しかし、委員会では与党による賛成多数となりました。

しかし、大切なのはこれからです。実際に平和台図書館が、指定管理業者によって、利用する方にとっても、そこで働く方々にとっても、望ましい形で運営されるように、しっかりと見守っていきたいと思います。(写真は視察した武雄市図書館)