今日の文教児童青少年委員会で、2018年4月時点の保育所等の待機児童数の質疑を行いました。練馬区は今年4月の保育所の待機児童数を79名と発表しました。みなさんはこの数字、どう思いますか?「意外と少ないな」と思う方も多いと思います。
でもこの数字、実態を反映したものではありません。
どんな方が練馬区の考える「待機児童」なのでしょうか?
そもそも、認可保育所等に落ちてしまった方の合計は978名。ここから様々な理由で待機児童から引かれていき最終的に79名に。しかし、どんな方を除くのか、その方法に問題があります。
例えば現在は、認可保育所等に入れなくても、自宅から2キロ以内に「利用可能な保育所」がある場合、待機児童とは数えられません。しかし、「利用可能な保育所」は、認可保育所等だけでなく、認可外の認証保育所、1年保育、幼稚園預かり保育(ねりまこども園)も含んでいます。しかしこの数え方、あまりに乱暴です。
わかりやすいのが経済的な側面です。認可保育所では所得によって毎月の保育料が決まっていて、所得が少ない方は無料ですし、数千円の方もいます。一方、認証保育所では金額は基本保育だけでも、月々6万円以上かかることも…。もちろん保育料の軽減はありますがそれでも月々の金額は、4万円以上かかることもあります。経済的な事情で、認証保育所を申し込めない方も多いのです。
しかし、そうした方も申し込みをしていない、ということで練馬区の「待機児童」から除かれます。他にも幼稚園預かり保育(ねりまこども園)では延長保育や給食もないので申し込むことができない、そんな方も区の「待機児童」にはなりません。池尻さんが資料請求をしたところ、100名以上の方が、「認可外の利用可能な施設」が近くにあるのに申し込みをしていない、という理由で待機児童から外されていました。
他にも問題があります。求職中の方も、保育所等に落ちた際、「現在は求職活動を休止していますが、内定した場合は再開し、就労先を決定します。」と答えると待機児童から外されます。でも保育所が見つからない場合、多くの方は、子育てのために求職活動を一時的にあきらめなくてはいけない筈です。しかし、こうして待機機児童から外された方は80名、あまりに乱暴です。
育児休業についても同様です。今年から復職の意思のある方は待機児童と数えることになりましたが、区に対して「申込時は入園できたら復職するつもりでしたが、育児休業延長により現在は復職を希望しません」と答えると待機児童からは除かれます。
保育所等が見つからなかった段階で、多くの方が会社に育児休暇の延長を申請せざるを得ず、その際には期間も含めて申請します。にもかかわらず、すぐに復職しなければ「あなたは復職の意思はない」として130名近い方が練馬区の待機児童から外されてしまっているのです。
その他にも、あくまでもセーフティネットの1年だけの保育に入った方、87名も待機児童から除かれています。
練馬区は待機児童が89名と発表しましたが、何倍もの方が認可保育所等に入れず苦しんでいるのです。練馬区はこうした計算を改めるとともに実態に沿った対応を行うべきです。