大田区で保護者が3歳の子どもを放置して餓死させてしまった事件、私にとってもあまりに辛く、しばらくはニュースを見ることができませんでした。そんな中で、ひとりの方からご連絡をいただきました。彼女は25歳で今回の事件の容疑者(24歳)と同年代、同じように児童養護施設で育った方でした。
「あの事件、とても胸が痛みますが、もしかしたら私も同じことをしたかもしれません。
ぜひ知っていただきたいのですが、児童養護施設で育った私たちの多くは家庭で虐待を受けてきて、まともな家庭を知りません。そして、18歳か20歳で施設を出ると、何も知らないまま社会に放り出されます。私自身、施設では職員のお姉さんたちの指示に従うだけでしたので施設を出た時は自分で何かを考えることなんてできませんでした。料理や掃除の仕方すらもわかりませんでした、まして子育てなんて全然わかりません。施設では全て職員さんがやってくれます。でもそれは保護者じゃないんです。
外へ出た時に助けてくれる人なんて一人もいません。誰かに頼りたくても頼れないんです。この事件をテレビで見て、私も苦しかった。たぶんこの子は私と同じように、親を見てこなかったんだと思います。もちろん彼女がやってしまったことは許されることではありません。だけど、なぜこんなことになってしまったのか、そのことにも目を向けてください。」