選挙前の最後の議会、来年度の予算の審議が行われています。私は区民費・地域文化費、子ども家庭費、補正予算を担当。区民費・地域文化費では80億円以上をかけて美術館の建替えを行う一方で子ども食堂には1円も予算がなく、外国人への日本語ボランティアの方々も無償であることなどを指摘し、改善を求めました。(詳細は後日公開される議事録をご覧ください)

【はじめに】

コロナや物価高騰の影響で住民の暮らしは困窮を極めています。その中で38年しか経ってない建物を壊し、81億円もかけ新しい美術館を作るということ。他方で、27億円といわれる給食費の無償化や50年以上が経ち、老朽化が進む学校や児童館などの建て替えが見送られている現状、練馬区が何を大切にするのか問われています。その中で、練馬区立美術館等の基本設計を行う事業者選定について、公平かつ適正に行われたのかにも疑念が生じています。

候補者選定では22社が提案書を提出、最終的に平田晃久建築設計事務所が選定。しかし、先日の委員会において、同社の協力企業は審査の前提となる美術館再整備基本構想の策定支援業務を行ったコンサルだったとの指摘が複数の委員からなされています。(https://iwasetakeshi.net/2023/01/nerima-art-museum-2/

【質問1:選定は適切に行われたの?】

そもそも、基本構想策定支援業務においては同コンサルの1社しか応募がなく、業務の中には今回の基本設計を行う事業者の選定の支援が含まれ、募集要項や評価基準なども作成しています。つまり、選定に関わる業務を行った事業者が自ら受注事業者の協力企業となっています。これは公平な競争という観点で問題があるのではないでしょうか?

【区の回答】

こういった質問自体が大変残念である。そもそも設計者が日々のノウハウを集約して提案してきたもので、主体は設計事業者であることを認識いただきたい。そもそもコンサルは有利に準備できるような情報は持っていない。また実施要項は、一斉に公募公表し各社が同じ状態、情報のもので一斉にスタート。選定は厳正、適正に行われ、誰にも有利不利はなく、公正公平な審査の結果である。委員の指摘は全く当たらない。

 

【岩瀬の主張】

遺憾とのことですが、多額の税金が使われている以上、選定プロセスを質すのは当然です。選定では美術館構想を実現するために区が目指す方向性、考え方などを十分に理解することが資質として求められました。つまり、美術館基本構想を策定したコンサルが他の事業者よりも有利な立場にあったことは明らかです。

さらに、同コンサルは構想を作成のための検討委員会にも毎回出席していました。検討委員会のメンバーのうち、4名はわずか9名からなる審査委員会のメンバーにも名を連ねています。プロポーザル実施要項の中には、事前に選定委員への接触を行うことは一切禁止するとありますが、審査委員と日常的にやり取りをしていたことに。競争の公正性が担保されたと言えません。

【質問2 結局いくらかかるの?】

美術館や図書館の再整備について、現在は管理費を含めて総額で81億円としているが、価格高騰によって今後大きく上昇する見込みで、区は最終的な価格は不明としています。具体的にいつの段階で総事業費やランニングコストはあきらかになるのでしょうか?

【区の回答】

ランニングコストはこれから基本設計、実施設計の中で検討していきます。

【岩瀬の主張】

いくらかかるかも分からず、維持の費用すらも不明。さらに選考の過程も疑念があります。こうした状況で多額の税金を支出することは適切ではない、改めて見直しを求めます。