練馬区は2024度予算で能登半島地震を受けて「攻めの防災」を強化すると表明。女性防災リーダーの育成に取り組んでいますが、そのテーマについて災害時に「女子力を活かす」と説明。区としてあまりに時代錯誤でジェンダー差別をも助長する発言です。

予算特別委員会での審議の中で、女性防災リーダー育成に関するやり取りがありました。
この講座は2017年に開始、3日制のコースこれまで248名が受講したとのこと。

災害後の避難生活、特に女性たちをとりまく状況は深刻です。熊本地震におけるエコノミークラス症候群の入院患者の77%が女性だったというNHKの調査もあります。そうした中、避難所運営や防災活動に女性が関わるために練馬区が実施している「女性防災リーダー育成講座」も重要な意義を持ちます。

しかし、女性リーダー育成講座のテーマについて、委員会で練馬区は以下のように説明。

テーマは災害時でも女性の感性や輝きを失わず、女子力を発揮してもらえるようにストレスマネージメントや利用情報、例えばハンドマッサージの仕方や、またドライシャンプーの使い方などを経て女性が、また、特に困るとされている生理に必要な備蓄品を考えるなど女性の視点からの防災対策が学べる内容になっている。

なぜ、能登半島地震の惨状を目にして「女子力を発揮してもらう」などという言葉を使えるのでしょうか。「女子力」という言葉には女性はこうした役割を担ってほしいというジェンダーバイアスが含まれており、さまざまなメディアでも批判されており、朝日新聞のアンケートでも5割の方が否定的な見解を示しています。

「女の子として可愛くあるべき」という姿を押し付けられているような気がする。女性は、「女の子」であり続けなければならないのか。さらにそれを「女子力」といって勝手に他人に優劣をつけられるなんて、抑圧されているにも程がある。社会に出ても、「女子力が低い」と上司に言われ、苦に病む人がいると聞く。自立したかっこいい女性も、いつまでも「女子」でいなければいけないのだろうか。男性は社会に出るなど、一定の年齢を越えれば「男子」とは言われなくなるというのに。

練馬区が「女子力を活かす」という視点で女性防災リーダー育成を実施しているということ、そしてそれを問題ないと考えてしまうことが、あまりに時代錯誤かつ練馬区のジェンダー意識の欠如を示すものであり、認識を改めるべきです。

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