3月12日の文教児童青少年委員会において、練馬区立谷原保育園の閉園撤回を求める陳情の質疑が行われました。区は延べ2万5千人の反対署名を重く受け止めると答弁。しかし、練馬区は、閉園撤回はしないと明言。また、同じような辛い思いをする方がでないように、二度とこうした形での閉園をしてほしくないという保護者の声には「今の所」計画はないと答弁。あまりに保護者や陳情者の思いを蔑ろにしているものでした。当日の主なやり取りをご報告します。

【論点1 署名者の思いを受け止めるべき】

最初に陳情の署名について。今回の陳情では1万3千人、昨年否決された同趣旨の陳情では1万2千人、延べ2万5千人もの方が署名をしていますが、区は真摯に受け止めず、むしろ蔑ろにしてきたのではないですか?

2022年5月の文教委員会での陳情の審査の際に、当時、1万人以上もの署名について、委員が区の認識を求めたところ、練馬区は「区の計画の目的を十分に伝えきれていなかった」のではと感じてございます。」と回答しています。

その回答に私は絶句しました。陳情者の方々、暑い日も寒い日も雨の日も、必死で訴え、署名の協力をお願いしていた。そこで署名をする方々も決して勘違いして署名をしたものではありません。それに対して、勘違いをしているから今後丁寧に説明する、というのは、あまりに傲慢です。

それから2年がたって、改めて質問します。十分に計画の目的は説明する時間もあった中で、そのうえでさらに1万人もの方が署名をしたことについて区はどう考えますか?

【区の回答】

前回、今回と多数の署名が提出されたことについては重く受け止めさせて頂く。ただ、陳情については議会の審査をいただいて判断するものである。

【岩瀬の意見】

区が重く受け止めるのであれば、議会の判断を待つまでもなく、区の判断で閉園を撤回すべきです。

【論点2 谷原保育園閉園の本当の理由はお金ではないのか】

閉園の一番の理由は老朽化だと保護者にも繰り返してきましたが、それは建前でしかなく
結局は財政上の理由ですよね。この際だからはっきりと認め、保護者にも説明すべきです。

この間の質疑でも何度も明らかにしているように、谷原保育園よりも老朽化している公共施設などいくらでもある中で、老朽化は言い訳にすぎません。

2022年の陳情審査では、子ども家庭部長は以下の用に明言しています。

こども家庭費は、「一般会計の4分の1を占めている」わけでございます。
私どもは、そういったことを肝に銘じて、子ども施策を展開させていただいたわけでございます。そういった中で、「1円たりとも無駄にしないということで取り組んできている」つもりでございます。
引き続き、行政を前に進める、施策を進めるに当たっては、財政は当然考えていく。行政の持続可能性を担保するには、当然、財政の持続可能性が必要でございますので、その視点も踏まえた中で前に進めていきたい。

そういった中で、今回の計画もお示しさせていただいてございますので、御理解を賜ればと思っております。

つまり、今回の閉園の一番の理由は予算を削減するためということであり、なぜそれを保護者に一度も言わずに隠していたのですか、全く誠実ではない。はっきりと明言すべきです。

【区の回答】

財政の側面もあるが、あくまでも中心は民間の活力を活用したサービスの向上と老朽化への対応である。

【岩瀬の思い】

財政の側面を認めたということは大きいものの、あくまでもサービスの向上と老朽化への対応を理由にしているというのは、保護者や区民に対しても誠実ではないと思います。

【論点4 保育参加について 保護者が満足しているという発言を改めるべき】

先日の予算委員会での発言において、練馬区は以下のように回答しています。

区に寄せられた、谷原保育園の保護者の方のご意見の中でも、今回の保育参加、時間を掛けて丁寧にやっていただくだけでもありがたいと、4月からがとても楽しみであるというようなお声もいただいているところでございます。

しかし、実際は全く違います。2月の懇談会ではむしろ不安に感じている声、泣きながら訴える保護者も沢山いました。なぜこうした不安の声を全く答弁しなかったのでしょうか?保護者からは、懇談会で転園に関しての不安な気持ちを話した際の、話の一部を切り取り、保護者が転園を喜んでいるかのように捏造されて報告された、との声が届いています。こうした声をどう受け止めるのか、お答えください。

【区の回答】

引き続き保護者の声を聴いて丁寧に対応する。

【論点5 今後、二度と谷原保育園と同じことを繰り返さないで欲しい】

保護者からは、これほど辛い思いをするのは私達を最後にしてほしい、二度と同じことを繰り返さないで欲しいという悲痛な訴えが届いています。

練馬区として、保育園の運営を今後どうしていきたいのでしょうか。
こういったやり方で公立保育園を廃止にするのか?という問いに対して、区は「今のところ、そういった計画は一切ございません。」と答弁してきましたが、なぜ「今の所」なのか、今後絶対に同じことをしないと約束すべきです。

【練馬区の回答】

今の所、そういった計画はない。

【岩瀬の思い】

あくまでも未来のことはわからないとのことです。公立保育園に入園する全ての保護者を不安にさせるものでしかありません。

【岩瀬の訴え】

来年度の予算では「子ども達の笑顔輝くまち」を目標に掲げていながら、子どもや保護者をこれほど泣かせて、ここまで苦しめている。コスト削減のために区立園を閉園することが本当に区民全体の利益なのか、練馬区が言う子どもの笑顔とは何なのか考えるべきです。

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