2023年決算特別委員会、教育費では教員間でのハラスメント対策と部活動のあり方の見直しを訴えました。

練馬区で、うつ病などの精神疾患で3か月以上休職した小中学校の教員の数は、練馬区教育委員会によると今年度は8月末時点で過去最悪のペースに。その背景の一つには教員間のハラスメントも否定できません。

はじめに

練馬区でうつ病などの精神疾患で3か月以上休職した小中学校の教員は毎年増加しており、令和元年度には20名だったのが、令和5年度は34名と1.5倍。今年度も8月末現在で24名と過去最悪のペース。さらに、精神疾患で3か月以内の病気休暇を取得している教員をあわせると、その数は倍増します。

休職者の増加の背景には、事務作業の増加や保護者への対応、部活動などによる長時間の残業など、多くの要素がありますが、特に近年課題となっているのが教員間でのパワハラ、セクハラ、マタハラに代表されるハラスメントです。

令和2年度、東京都教育委員会が練馬区を含む都内全ての教職員に対しパワーハラスメントに関するアンケート調査を実施しました。その結果、過去3年以内にパワハラがあったと回答した方が全体の21.6%に達していました。

こうした状況をうけ、練馬区は令和5年度、「練馬区立学校職員等のハラスメント防止に関する基本方針を策定するとともに要綱を策定、ハラスメントに関する相談や苦情の申し出に対応するための専門の相談窓口、および相談員を設置しました。

質問1.相談窓口について

しかし、相談窓口への相談件数は令和5年度にわずか5件、今年度もこれまでで5件のみです。区は窓口を設置後、全学校に文書を配布するとともに、教員用システムでの通知もしたとのことですが、いまだに相談窓口の存在をしらない教員も多くいます。

教育委員会は管理監督者への指導を通じて、全ての教職員が相談窓口にアクセスできるように積極的な周知をすべきです。

区の回答

校長会での周知をはじめとして、ポスターやチラシの配布、教員支援システムの掲示板などにおいて資料を掲示しています。全ての教員に周知し、必要であればこの制度をご利用いただきたいと考えています。より相談しやすく、わかりやすい周知を引き続き工夫していきます。

岩瀬の意見

今までも様々な周知をしてきたとのことですが、残念ながらまだ知られていない現状があります。管理職への研修等を通じて、全ての教員に必ず伝わるように、繰り返しの指導を求めます。

質問2.相談窓口の専門性確保を!

相談窓口の周知とあわせ、教職員からの相談窓口への信頼を築くことが必要です。そのためには、プライバシー保護や不利益取り扱いの禁止などの組織的な対応とあわせて、各相談員の果たす役割も非常に重要です。現在、練馬区の相談員は5名ですが、その構成は、学校施策課長、事務職2名、教員2名。全て教育委員会に所属しています。

教職員から見れば相談の相手はすべて同僚や上司です。相談後に事実関係を調査するために設置される苦情処理委員会も、同様の構成です。

少なくとも、中立性を担保し、教職員の信頼を得るためにも、相談員や苦情処理委員に弁護士や心理士などの外部の専門家を含めるべきです。回答を求めます。

区の回答

内容によっては都の専門家の窓口を案内したり、繋げていくことも想定しています。

岩瀬の意見

せっかく練馬区が独自の相談窓口を設けたのですから、専門家だったら外部ということではなく、練馬区の中でしっかりと対応頂きたいと思います。

質問3.運用の改善

相談窓口の運用改善も必要です。現在は、メールを除き、相談可能時間が平日の勤務時間のみになっている。教職員が勤務時間内に学校から相談をすることは非常に困難。さらに、窓口相談員のうち、2名は現職の教員であり、相談員自身も学校での業務と並行して相談を受けることになっています。

教職員が相談を行いやすくするためには、平日の勤務時間外や休日においても相談できるような、窓口の運用改善が必要です。

岩瀬の意見

都の調査では、ハラスメントを防止するために教育委員会に求める取組として、管理職の意識啓発研修と回答した教職員が最も多い数値に。職層に応じた研修を通じて、管理監督職や指導的立場にある教職員をはじめとした意識改革をはかることが必要です。あわせて、ハラスメントが発生する原因として、職場自体に余裕が無いことを挙げた教員が1万人以上に達していました。こちらも教員の働き方改革について、抜本的な対応を求めて終わります。