年に一度、どんな内容でも直接練馬区に問うことができる一般質問、2024年12月に実施した今回は練馬区の闇に光を照らすこと、そしてそこから改善を図ることに全力を尽くしました。(一般質問の項目はこちら、動画はこちらからご覧ください。)その第一として、区内の小学校で本年に発生したいじめ重大事態を取り上げました。本件は子どもの性自認に関するものでした。子どもからのメッセージとともに再発防止にむけた包括的性教育の実施などを求めました。
私自身、LGBT自治体議員連盟に所属し、練馬区でのパートナシップ制度の導入など差別解消に向けての取組をこの10年取り組んできました。
以下、内容をご報告します。
【はじめに】
練馬区の小学校で本年発生したいじめ重大事態について質問します。
いじめ重大事態とは
いじめ重大事態とは、「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重
大な被害が生じた疑いがあると認める」事態及び「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認める」事態と定義
されている。(文科省)
練馬区でのいじめ重大事態、22年度は1件、23年度に2件、今年度もこれまで2件が報告されています。
本年度の事例は、心と体の性別が一致しない、いわゆる「性別不合」に関するものです。本件では同学年の児童が本人の家族の性別について「男なの?女なの?」と尋ねたり、本人不在の時に友人間でその件について話をしたりするということが複数にわたり発生。当該児童は1年以上、本日に至るまで登校できなくなり、現在も苦しんでいます。
1)教職員の理解増進の取組を
学校の調査では、教員の性別に関する指導体制が十分ではなかったこと、子どもや保護者が何度も助けを求めたにもかかわらず、管理職に即時集約ができていなかったこと、教職員間で共通理解を徹底できていなかったことなどが明らかになりました。
こうした事態を二度と繰り返さないためには当該校だけでなく、全ての教職員に本件を共有するとともに、LGBTQに関する理解増進を図るための研修を充実すべきです。
【練馬区の回答】
区では現在、いじめ問題への理解を深め組織的に対応する力を高めるため、担当や職層に応じた研修を実施しています。また、人権教育研修会を実施し、性自認を含めた様々な人権課題についての理解促進を図っています。個別の事案については、校長会や副校長会等を通じて、個人情報に配慮しながら全校で情報を共有し、再発防止を図っています。
2)児童生徒の理解増進への取組を
また、加害者とされる子ども達は性別を何度も聞いたことについて「配慮が不足していたが、悪気はなかった」と回答しています。しかし、悪意の有無に関わらず、被害者に大きな傷を負わせてしまったことは事実です。子ども達にも理解できるように、全ての学校で専門家を招聘して性の多様性などを含む包括的性教育を行うべきです。区の回答を求めます。
【練馬区の回答】
学習指導要領に基づき、発達段階に応じて性についての理解を深める学習を行っています。また、専門家を講師に招くための予算を各学校に配当しており、授業をできる環境を整えています。今後は、現在取り組んでいる人権を基盤とした教育・研修等プログラムも活用した教育を行ってまいります。
3)いじめ重大事態調査のあり方の見直しを
いじめ重大事態調査では、対象児童生徒やその保護者の「何があったのかを知りたい」という切実な思いを理解し、事実関係を可能な限り明らかにすることが求められます。しかし本件では、本人や保護者の希望は満たされず、今も苦しんでいます。調査のあり方についても検証し、今後に生かすべきです。区の回答を求めます。
【練馬区の回答】
区では第三者である弁護士等の助言を踏まえて調査を実施しています。調査は強制力をもつものではないため、可能な範囲で事実確認を行っています。対象の児童生徒および保護者の望む調査結果でなかったとしても、調査内容を全てお伝えし、理解を得られるよう努めています。
対象の児童生徒に対しては、心のケアや安心した学校生活を送るための環境作りなど、様々な支援を継続して行ってまいります。
【岩瀬の訴え】
ご本人や家族によると、今回の件で一生消えない深い傷が残ったとのこと。楽しみにしていた移動教室にも行けず、事件から数年が経った現在でもフラッシュバックにより、眠れなかったり、悔しさを感じたりするとのことです。
本人から預かったメッセージ、一部を紹介します。
「私たち子どもは大人から見たら「わがままで自分勝手で何にもできない存在」なのかもしれないけれど、嘘はつかないし守らなきゃいけないものは守ります。家族が男だったとしても女だったとしても、大切な存在です。そんなことをなんで他人に言われなくちゃいけないのでしょうか、もっとみんな人の気持ちを考えないといけないとおもう。」
ご家族からの「二度と私達のように苦しむ子やご家族がでないことを望みます。」という声とあわせて、区としてしっかりと受け止めて頂きたいと思います。性別や国籍、障害の有無など「違い」によって差別やいじめを受け、苦しむ子どもが二度と出ないことを心から求めて本項を終わります。
【岩瀬の思い】
練馬区で二度とこのような辛い思いをする子どもが出ることのないよう、包括的性教育の実施や教職員の研修、被害者の救済など、区全体で取り組むよう今後も訴えていきます。
過去のLGBTQに関する訴えはこちらをご覧ください。