練馬区は令和5年度(2023年度)の不登校の状況を報告。年間30日以上登校せず、「不登校」とされた小中学生が過去最多となる1,648名に上ったことが明らかになりました。わずか3年前の令和3年度(2021年度)と比べて1.4倍にまで増加しています。特に小学生では1.6倍、増加が顕著です。
はじめに
調査は文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」に基づき毎年練馬区が実施しており、「令和5年度 練馬区立小中学校における暴力行為・いじめ・不登校の状況について」として11月に報告されています。
「不登校」は、病気や経済的理由を除き、心理・社会的な要因などで登校できない状況を指しています。
全国での調査結果によると、不登校の子は小学校13万370人(前年度比2万5258人増)、中学21万6112人(同2万2176人増)とのこと。
練馬区の不登校の人数は?
練馬区では、小学校で717人(前年度比155名人増)、中学校では931人(前年度比107人増)の合計1,648名でした。3年前の令和3年度と比べると、全体では1.4倍、特に小学校では1.6倍にまで増加しています。
その中でも、小学校の低学年での増加率は1.84倍と突出しています。
在籍児童数に占める不登校の割合を示す出現率は、小学校では2.21(45人に1人)、中学校では6.90(15人に1人)まで上昇しています。中学校では1クラスに2人から3人は不登校の計算になります。
不登校の理由は?
調査では今回初めて、不登校の子について把握していた状況を教員から聞いています。その結果、小学校では「学校生活に対してやる気が出ない等」、「学業の不振」、「不安・抑うつ」が最も多かったのに加え、初めて「障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援の求めや相談があった」(4位)「個別の配慮(障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援)についての求めや相談があった」(6位)が明らかに。中学校では、「友人関係」「親子の関わり方」などが多いことも特徴的です。
不登校の子どもへの支援は?
不登校支援では適応指導教室が中心的な役割を果たしていますが、登録者数は小学生で184人(全体の25%)、中学生で348人(37%)に留まっています。また、あくまで登録した人数であり、実際に通っている子どもの数は更に少ないものです。練馬区はそのほかに居場所支援事業として「ぱれっと」の運営を行っていますが、こちらも利用者数はわずか19名。より多様な支援が求められています。
今後の支援は?
今回の調査で、不登校対策として「障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援の必要性」や「個別の配慮(障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援)の必要性」などが明らかになりました。
長期的には少人数学級の実現や複数担任制などの導入が必要であり、短期的には生活支援員の増員や、適応指導教室での支援充実なども不可欠です。
また、練馬区では昨年度から、「校内別室指導支援員の配置事業」を小学校5校、中学校15校で実施していますが同事業の全校での実施拡大や練馬区としてのフリースクール通学への支援など、子ども達の選択肢を増やすための取組も必要です。区として更なる対策を行うよう、今後も訴えていきます。ご意見などありましたら、ぜひお寄せください。
過去の訴えはこちらからご覧ください。