建築・解体費用が当初の1.5倍、少なくとも109億円となることが判明した練馬区立美術館の建て替え、概算費の内訳がようやく明らかに。昨年2月から11月までのわずか9カ月で本体工事費が15億円(20%)も上昇していることが判明。そのうえで、さらなる工事費の上昇も区は否定せず。物価上昇の影響を受けて、区民の暮らしが困難を極める中で、今こそ見直しを行うべきです。

わずか9カ月で本体工事費は20%増!

5月20日の文教児童青少年委員会では、陳情第68号「練馬区立美術館・貫井図書館の建て替え計画を白紙にし、再検討を求めることについて」の質疑と審査が行われました。練馬区が提出した資料の中で、初めて昨年11月に示された概算費の内訳が明らかになりました。

金額を見ると、昨年2月に示された基本設計策定時の本体工事費は82.7億円だったのに対して、11月時点では98億円。わずか9カ月で15億円、20%近く増加しており、同様にその他工事費についても30%増となっています。さらに、それから半年が経過した5月時点での費用については、物価上昇などで変動している可能性を指摘しつつ、金額については回答せず。まさに青天井の状況です。

すみだ北斎美術館は区からの支出はゼロ!

先日の委員会では墨田区のすみだ北斎美術館を視察しました。同美術館は2016年に開館していますが、総工費34億円のうち、85%にあたる29億円は国と都からの交付金で区の支出は5億円でした。こうした中、2014年の墨田区議会の付帯決議において、区民の中にも、また区議会の中にも賛否両論があり、財政負担への影響を最小限にするとしたうえで、最終的に5億円の全てを寄付金で賄うこととしています。

計画の白紙撤回を!

翻って練馬区立美術館は総工事費が最低で110億円、しかしそこに国や都の交付金は一切なく、すべて練馬区民の税金です。物価の高騰によって区民の生活が困窮を極める中、他区の状況をみても目黒区では美術館は建て替えを中止中野サンプラザの再開発も計画を断念しています。学校は80年まで使用するとしている中で、わずか39年しか経過していない美術館をなぜ今建て替える必要があるのか、練馬区も計画見直しを行うべきです。