練馬区は2025年4月のプレスリリースで「保育所等利用待機児童数ゼロ“5年連続”達成」と発表しました。しかし実際には希望する園に入れなかったものの「1歳児1年保育」や「特定園のみ希望」などの理由で数字に含まれない「隠れ待機児童」も多数存在します。練馬区は実態を明らかにすべきです。
5月の文教児童青少年委員会で2025年4月時点の「保育所等在籍・待機児童数について」報告がありました。報告によると区内保育所等への在籍児童数の合計は17,576名、昨年度とほぼ同数で認可保育所に通う割合が93%(16,488名)です。内訳をみると、待機児童数はゼロ名ですが、「保育所等に入れなかった者」は昨年より9名増加、580名に達しています。
(出典:練馬区)
練馬区は待機児童数ゼロ?
「保育所等に入れなかった者」とは希望する保育園等に入れなかったものの、待機児童に含まれない方のことを指します。その内訳をみると234名もの方が「特定園のみ希望」となっています。「特定園のみ」というのは自宅から2キロ以内に空きのある認可保育園等があるにも関わらず申し込みをしなかった方ですが、例えば兄弟で非常に離れた園になってしまう場合など、様々な事情で申し込めなかった方も全て待機児童から除外されています。
また、1歳児1年保育と2歳児1年保育という名目で今年も55名が待機児童から除かれています。こちらは区独自の緊急対策で保育園に入れなかった1歳児、2歳児について、1年間のみ保育するというもの。
緊急といいながら1歳児では2016年から既に9年が経過し、2歳児は昨年から開始し今年で2回目。しかし、1年保育は1年での転園が義務なのでお子さんや保護者の方への心理的な負担が非常に大きく、さらに、6時半以降の延長保育や土曜の保育も不可。園で行われる土曜の行事にも、その練習すら参加できないなどの課題があります。こうした方もすべて待機児童から除かれ、いわゆる「隠れ待機児童」になっています。
こうした状況にもかかわらず、練馬区ではこれ以上の保育園は必要ないとして、昨年度には保育園の増設を行わない方針も示しています。
実態の公表と保育の質の改善を!
練馬区は4月25日のプレスリリースにおいて、「保育所等利用待機児童数ゼロ“5年連続”達成」と宣伝しています。
しかし実際には希望する保育園に入れなかった家庭が多数存在し、子どもや家庭に大きな負担や犠牲を強いている現状も存在します。また、保育士からも現状では1人で20人以上の園児を見なければならず、一人ひとりに丁寧に寄り添うことができないとの訴えも届いています。練馬区としてこうした実態を明らかにするとともに、保育の拡充に努めるべきです。