練馬区が進める美術館と図書館の建て替え事業。その総額は当初より1.5倍、今や109億円にのぼり、更なる上昇の恐れも指摘されています。しかし、住民の理解や関心が十分とは言えない中で、区は「機運醸成」を掲げてPRに力を入れ始めました。本当に今、必要なことは何なのか――7月22日の文教児童青少年委員会での報告をもとに、現状と課題を整理します。

「機運醸成」のために税金を投入


7月22日に開かれた文教児童青少年委員会では、練馬区から「練馬区立美術館・貫井図書館再整備事業に係る機運醸成に向けた取組について」報告がありました。区は現在、2029年度の完成を目指して、両施設の建て替えに向けた実施設計を進めています。

その中で「機運醸成」を目的に、中村橋駅での横断幕や自動改札でのステッカーの掲出、区役所アトリウムでの展示、SNSの発信などを行う方針が示されました。このPR活動にかける予算は24万円とされています。当日の資料は以下からご覧いただけます。

04【資料2】練馬区立美術館・貫井図書館再整備事業に係る機運醸成に向けた取組について

高すぎる建て替え費用、縮小される図書館機能

しかし、この建て替え計画には多くの問題があります。
まず、総事業費が当初の74億円から109億円へと1.5倍に膨れ上がっている点。今後も増える可能性も高く、完成後の維持費も明らかにされていません。

建て替え後は図書館が複数フロアにまたがることになり、使いづらくなることも懸念されています。
また、これまで地域の様々な活動を支えてきた「サンライフ練馬」も廃止されるなど、住民サービスの後退も指摘されています。

寄付は3人、フォロワー9人 ― 機運は本当に高まっているのか

区は現在、建て替えに向けた資金の一部をクラウドファンディングで賄おうとしています。
7月1日から始まった「第2期:子どもたちの未来のために!新美術館・図書館をみんなでつくろう」プロジェクトには、7月22日現在で寄付者はわずか3名にとどまっています。

(出典:https://www.furusato-tax.jp/gcf/4189)

また、7月18日に区が開設したX(旧Twitter)の公式アカウントも、フォロワー数は7月22日現在で9名。これで本当に「機運が高まっている」と言えるのでしょうか。

「機運醸成」より、まず住民との対話を


本来、美術館や図書館の建て替えは、住民の間から自然に期待や賛同が生まれるものであるべきです。
それを「機運醸成」と称して区が主導的に演出しようとする姿勢には、強い違和感を覚えます。

100億円以上の巨額の税金を投じる以上、区民一人ひとりが納得できるプロセスが必要です。
今、求められているのは、「盛り上げ」ではなく、立ち止まって見直す勇気だと私は考えています。

ぜひご意見など頂けたら幸いです。

これまでの訴えはこちらをご覧ください。